研究実績の概要 |
腸内連鎖球菌由来V-ATPase (EhV-ATPase) はATP加水分解エネルギーを回転トルクへと変換し、ナトリウムイオンを能動輸送する回転分子モータータンパク質である。本年度はVoドメイン固定子の変異体aE634Aを作製し、イオン輸送が律速となる条件で1分子回転計測に取り組んだ。 金ナノ粒子をプローブとした1分子回転計測によりVoドメインの回転子リングの10回対称性を反映した約36°の回転ステップが観察された。各ステップの停止時間の長さはナトリウムイオン濃度に依存しており、Voドメインのステップがナトリウムイオンの結合に対応していることが示唆された。ナトリウムイオンおよびATP両基質が結合律速の条件では、Vo, V1両ドメインの構造対称性を反映した13点の停止が観察された。この結果は両ドメインで安定な角度が異なっていることを意味し、ドメイン間のカップリングが”硬い”ことを示唆する。
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