• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

遺伝的多様性が藻場の維持機能に与える影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20J01345
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

秋田 晋吾  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
キーワード藻場 / 海中林 / 遺伝的多様性 / カジメ / Ecklonia
研究実績の概要

未成熟のカジメの胞子体を7月に採集し人工成熟を試みたが, 3ヶ月経過しても胞子体は成熟に至らなかったため,天然で成熟した胞子体を採集し,配偶体の系統保存株を作成した。その結果,56個体の胞子体から,雌雄配偶体をそれぞれ5~8株程度単離し,計300株程度の系統保存株を作成した。
作成した配偶体系統保存株の遺伝子型を調べるために,Itou et al. (2012), Akita et al. (2018) およびAkita et al. (2020) で報告されている12のマイクロサテライトマーカーを使用し,雌性配偶体 41個体,雄性配偶体43個体の計84個体のアレル長を決定した。その結果,同じ親に由来する配偶体でも遺伝子型が一致する個体は僅かである可能性が示された。さらに,同じ親に由来する配偶体間の遺伝子型の多様度(ハプロタイプ多様度h)は,全体個体の多様度と比較してほとんど変わらなかった。
コンブ類の配偶体では,しばし無性生殖により胞子体を形成することがあるため,交雑実験により得られた胞子体が配偶体の雌雄の交雑に由来する藻体であることを確認する必要がある。Lipinska et al. (2015)およびZhang et al. (2018)で報告されているコンブ類の近縁種のマーカーと,遺伝子データベースに登録されているカジメ類のゲノムデータをもとに,カジメ類の性決定領域を特異的に増幅させる遺伝子マーカーを作成した。カジメ類の雌雄配偶体の系統保存株をサンプルとしてPCR反応を行ったところ,雌雄それぞれで特異的な反応が得られた。次年度の交雑実験と野外移植を行う準備を整えることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2020年度は研究開始後2週間足らずで2ヶ月の緊急事態宣言が発令され入構制限がかかった。研究関連の業務は培養株の管理など最低限に制限されたため,予定していた野外採集を実施することができなかった。そのため,研究計画を後ろ倒しにし,配偶体の系統保存株作成,遺伝型決定および交雑実験を目的として,研究を実施した。

今後の研究の推進方策

今後は,単離し遺伝子型を決定した配偶体の系統保存株を用いて遺伝的多様性の異なる実験区を作成する。まずは,実験室内でストレス耐性を検証する。代表的なストレスとして,高水温耐性と創傷からの回復速度を調べる。高水温耐性は,光合成速度とヒートショックプロテインの発現量で評価する。回復速度は,人為的に藻体を切断し,成長量を調べる。 緊急事態宣言による研究の遅れのため2020年度実施できなかった野外への移植も,2021年度の冬に実施する。移植後は成長特性と生理特性を調べる 。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Molecular evidence for naturally occurring intra- and inter-generic hybridization in the genus Ecklonia (Laminariales, Phaeophyceae)2021

    • 著者名/発表者名
      Akita Shingo, Koiwai Keiichiro, Ishikawa Tatsuya, Sakamoto Takashi, Yoshimura Taku, Kiyomoto Setsuo, Nanri Kaiji, Tamayama-Kato You, Kurashima Akira, Hanyuda Takeaki, Shimada Satoshi, Kawai Hiroshi, Fujita Daisuke
    • 雑誌名

      Phycologia

      巻: 60 ページ: 170~179

    • DOI

      10.1080/00318884.2021.1885246

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hildenbrandia (Hildenbrandiales, Florideophyceae) from Japan and taxonomic lumping of H. jigongshanensis and H. japananensis2021

    • 著者名/発表者名
      Vieira Christophe, Akita Shingo, Uwai Shinya, Hanyuda Takeaki, Shimada Satoshi, Kawai Hiroshi
    • 雑誌名

      Phycological Research

      巻: - ページ: 1~5

    • DOI

      10.1111/pre.12456

    • 査読あり
  • [学会発表] 褐藻アラメ属,カジメ属の配偶体保存株の成熟誘導2021

    • 著者名/発表者名
      鶴亀 里咲・秋田 晋吾・嶌田 智
    • 学会等名
      日本藻類学会第45回大会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi