採用後すぐにCOVID-19が感染拡大したため現地調査ができていなかったが、2022年度は採用後初めて調査地であるタンザニア連合共和国・マハレ山塊国立公園(以下、マハレ)に渡航し、調査をおこなうことができた。 2022年度は7月から9月まで約2カ月半にわたってフィールドワークをおこなった。まず、2021年に日本から送り、現地アシスタントにマハレ内での設置を依頼した赤外線センサーカメラを回収した。カメラに撮影された動物種を同定し、2012~2017年のデータと比較することで、各動物種やヒョウ個体の撮影頻度や撮影場所、撮影時間帯の変化などが明らかになる可能性がある。また、マハレ内でヒョウの糞を回収し、その内容物を同定した。その結果、げっ歯目の消費量が2017年までと比べて多い可能性が示唆された。 さらに、国立公園の境界の近くに住む人々を対象に、動物の目撃情報や獣害の有無について予備的な聞き取り調査をおこなうとともに、境界やその周辺で発見した動物の痕跡を同定した。 日本国内においては、2017年までにおこなってきたマハレ内での赤外線センサーカメラの調査内容をまとめ、論文を国際学術誌に投稿し、受理された。この論文ではマハレ内で撮影された動物種を一覧にまとめ、それぞれの動物がどのような活動パターンを示すのかを明らかにしている。今後マハレ外での動物相との比較をおこない、人と動物との関係を明らかにするうえで重要なデータである。
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