当該年度は、私がこれまでに取得してきた外生菌根菌群集データを用いての群集・多様性解析結果の論文化と、これらのデータを基にした菌類の出現予測モデルの構築と予備解析、そして野外調査を進めた。 まず、従来から用いたれていた調査地単位での群集解析手法を用いて、日本の森林における外生菌根菌群集構造の解析とその論文化を行なった。これらの結果から、外生菌根菌群集の空間パターンは、樹種ごとに異なる要因により駆動されていることが明らかになった。これらの結果をベースに、個別の種ごとの出現予測を行うため、スパース回帰、joint species distribution model、機械学習(ランダムフォレスト)を用いたモデルの構築を進めた。文献情報や情報学分野の研究者からのアドバイスを基に、解析用のRスクリプトの作成と改良を行なった。そして実際の群集データの一部を用いて予備解析を進めることで、パラメーターや計算時間の推定行った。 モデルから得られた結果の拡張やモデルの外挿性の確認のため、野外調査による追加データの収集も行なった。前年度同様に新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の発出とそれに伴う所属・協力機関の活動方針により野外調査は制限されたものの、関西を中心にブナ科広葉樹林においてサンプリングを行なった。採集した樹木細根は、実験室に持ち帰り、実体顕微鏡下で菌根の選択と洗浄を行い菌根からDNAを抽出抽出した。MiSeqによるアンプリコンシーケンスとバイオインフォマティクス解析により、上記の外生菌根菌出現予測モデルの外挿データを得た。
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