研究課題/領域番号 |
20J01794
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
中山 淳 国立研究開発法人国立がん研究センター, 国立がん研究センター研究所 細胞情報学分野, 特別研究員(PD) (30801237)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | シングルセルアンプリコミクス / 遺伝子増幅 / scRNA-seq / ERRB2 / HER2陽性乳癌 / 不均一性 / がん遺伝子 / アンプリコン |
研究実績の概要 |
本研究は遺伝子増幅がしばしば見られるHER2陽性乳癌をモデルとし、シングルセルレベルでのアンプリコン不均一性を解析する技術基盤を構築することで、遺伝子増幅と腫瘍内不均一性の関係性を明らかにすることを目的とする。 令和2年度の研究成果として、目的としているシングルセルアンプリコミクス解析を行うための臨床検体の収集とそのシングルセルRNA-seq解析を達成することができた。研究代表者として、先進ゲノム解析研究推進プラットフォームの支援に採択された。この支援を受けたことから、Chromium (10x Genomics)を利用したHER2陽性乳がんおよびルミナル乳がんの臨床検体 計4検体のシングルセルRNA-seq解析を遂行した。この結果から、令和3年度中に行う予定であったシングルセルRNA-seq解析を前倒して遂行できたことから、期待以上の進展をしていると言える。 さらに、シングルセルRNA-seq解析環境および基盤の構築を行った。臨床検体の収集とシングルセルRNA-seq解析と平行して、シングルセルRNA-seq解析環境の整備を行った。主に、Seurat(Stuart et al., Cell, 2019)およびR v3.6.3を利用した解析環境を構築した。さらに、共同研究で遂行した臨床検体シングルセルRNA-seq解析や公共データベースから入手したシングルセルRNA-seqの再解析を通して、シングルセル解析環境および解析基盤の構築も完了した。 以上より、当初の予定よりも1年以上前倒しで研究計画を遂行することができ、初年度で臨床検体からのサンプリングと解析技術の確立の大部分を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和2年度の研究成果として、目的としているシングルセルアンプリコミクス解析を行うための臨床検体の収集とそのシングルセルRNA-seq解析を達成することができた。研究代表者として、先進ゲノム解析研究推進プラットフォームの支援に採択された。この支援を受けたことから、Chromium (10x Genomics)を利用したHER2陽性乳がんおよびルミナル乳がんの臨床検体 計4検体のシングルセルRNA-seq解析を遂行した。この結果から、令和3年度中に行う予定であったシングルセルRNA-seq解析を前倒して遂行できたことから、期待以上の進展をしていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
(1)シングルセルアンプリコミクス解析技術の確立 取得した臨床検体シングルセルRNA-seqデータと解析基盤を用いて、1細胞レベルでのアンプリコミクス解析を行う。EPCAMなどの上皮細胞マーカーを用いて、がん細胞のみを抽出し、染色体ごとに遺伝子を抽出する。遺伝子座の情報に基づいて、遺伝子発現の解析を行うことでアンプリコンの変化を明らかにする。採用期間中に公開されたCNV解析パッケージ、CaSpERやCopyKATなどを利用し、同様の結果が得られるか評価する。また、アンプリコンの情報を用いて、monocleを用いたtrajectory解析を行い、癌進化系譜の推定を行う。 (2)組織学的解析によるバリデーション シングルセル解析を行った臨床検体を包埋・薄切し、病理切片を作成する。HE染色や免疫組織染色、FISHなどを用いて、臨床検体中のERBB2の不均一性を明らかにする。また、(1)から得られた結果から、変動し、組織中で不均一となっているアンプリコンを対象としたFISHプローブを作製する。実際に同一臨床検体を用いて、組織上での不均一性の解析を行う。上記の解析に加えて、別プロジェクトで進行しているDCISなどの解析を踏まえ、論文投稿の準備を行う。
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