研究実績の概要 |
令和4年度の研究成果として、収集した臨床検体のシングルセルRNA-seq解析を実施し、LuminalサブタイプDCIS検体、Luminal-HER2サブタイプDCIS検体、Luminalサブタイプ原発腫瘍、HER2陽性サブタイプ原発腫瘍の統合解析を行った。その結果、DCISに特徴的な遺伝子をシングルセルレベルで抽出することに成功した。また、DCISですでにERBB2遺伝子増幅領域に含まれる遺伝子が複数発現上昇していることを見出した。 さらに、定量的ネットワークトポロジーを用いた遺伝子発現不均一性の解析VARIED法を開発した。このVARIED法を適用することで、乳がんにおける間質細胞の不均一性の増大を見出した。これらの結果は従来の知見をサポートするものであり、不均一性を定量的に議論することが可能となった。 これらの結果を統合し、Cancer Research誌に成果を報告した(Tokura and Nakayama (Co-first) et al., Cancer Research, 2022)。 当初の計画以上に進展しており、新たなシングルセル解析手法の開発に取り組む予定である。 現在は、本研究課題をさらに発展させ、浸潤性小葉がんのシングルセル・空間トランスクリプトーム解析やVARIED法の適用拡張のための共同研究を推進している。
|