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2022 年度 実績報告書

大気物質循環における湿性沈着過程のモデル再現精度の向上

研究課題

研究課題/領域番号 20J01951
研究機関気象庁気象研究所

研究代表者

佐谷 茜  気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2024-03-31
キーワードデータ同化 / 降水 / 沈着過程 / 物質循環
研究実績の概要

本研究は大気物質循環における湿性沈着過程の実態を解明することで、大気物質による環境影響評価や大気・陸面を含めた物質輸送における水循環の役割を明らかにし、ひいては健康被害の抑制に貢献することを目指し、それらに不可欠である数値モデルにおける再現精度の向上と、湿性沈着過程の詳細な理解を目的とする。高度なデータ同化手法(局所アンサンブル変換カルマンフィルタ:LETKF)を組み込むことで大気濃度や気象場(風、雲微物理変数等)も同時に改善し、降水・セシウムの湿性沈着量分布の再現精度を向上させる。領域大気モデルIsoRSMへのLETKF組み込み、さらには気象庁領域気象化学モデルNHM-chemで計算した湿性沈着過程との相互比較に向けて、今年度は、化学輸送過程はないがデータ同化システムLETKFが組み込まれているNHM-LETKFによる豪雨事例の再現計算を行い、LETKFの挙動や降水データ同化による降水量の再現計算への影響について調査した。降水データ同化および、化学輸送モデルを用いた湿性沈着過程のシミュレーションについて10月に北海道で開催された気象学会秋季大会に参加し情報収集を行い関連の研究者と本研究課題について議論を行った。また、再現計算の結果について11月末にフランス・パリで行われた会合で発表した。いずれの学会・会合ともに、前年度までに参加した放射性物質の放出後の動態の専門家が多く参加する研究会等とは異なり、気象の研究者が多く別の視点からアドバイスをいただけたり議論を行ったりすることができ今後の研究の展開の幅を広げる良い機会となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでは主にセシウムの湿性沈着過程の解明に向け観測への同行や再飛散の再現計算に関わる共同研究等を実施してきたが、今年度は降水過程のシミュレーションの高度化研究に集中しIsoRSMへの降水データ同化システムの実装の準備を、NHM-LETKFを扱いその仕組みを調査することで推進した。具体的な実装方法について実際の気象庁のモデルを用いて調査し、IsoRSMへの実装に向け大いに前進できた。また、今年度は研究所内のデータ同化の研究者と議論する機会が非常に増え、1-2年目で理解が不十分だった部分について改めて学びなおすことができた。NHM-LETKFを用いて得られた豪雨事例の計算結果について、成果を11月末にフランス・パリで開かれた会合にて発表し、さらにアンサンブル計算の専門家と議論・情報収集も行った。

今後の研究の推進方策

IsoRSMへのLETKFの実装作業を引き続き行う。また、NHM-chemなど研究所の所有するモデルと、事故後セシウムの沈着が顕著であった期間を対象に湿性沈着量の比較などを行い、降水データ同化システムの有無の評価を行う。これまでの成果と合わせ、IsoRSMにLETKFを実装し137Csの湿性沈着過程を再現し、さらに他モデルとの比較結果を学術雑誌に投稿する。

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公開日: 2023-12-25  

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