研究課題/領域番号 |
20J10195
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
汐除 明 京都大学, エネルギー科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | 非平衡プラズマ / 電界 / 燃焼制御 / 衝突流バーナ / 火炎伸長 |
研究実績の概要 |
当該年度において,前半はCOVID19による行動制限に伴って,大学への入構制限等が実施されたために,とくに,実験等の進行に支障がでたが,後半に入構できるようになってからは確実に進められ,安定した火炎および電界を形成してデータを取得可能な実験を実施できるところまでできている.これにより,特に電場中の火炎の挙動についてラジカルの自発光計測だけでなくレーザ計測等が可能となった.また,前半の入構制限中はとくに数値解析によって,非平衡プラズマを周期的に投入した際の点火過程について反応動力学的に検討を進めることができた.,論文発表できるところまでは準備できているが,発表する場である学会の開催が延期となっている.以上,予期できない諸々の事情により,研究の遂行に支障が生じたが,一定の成果を上げることができ,実験結果の取得および計算結果の報告の準部が整っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験装置に関しては,油による冷却系の構築を目指した.電極を用いるため金属などの導電性の高い素材を使用することが難しいために,ガラスを用いた冷却装置の構築を目指した.冷却装置の構築にはオイルを循環させるためのオイルポンプと冷却水と油の熱交換機を導入し,これを実装した.冷却性能の不足によりパイレックス性のガラスが破損するなどのトラブルが発生したために,オイルによる冷却を断念し,石英ガラスを用いた実験系を構築した.石英ガラスを用いることによって安定した火炎の形成が可能となり,スチールカメラを用いた計測が可能となった.また,PIV(粒子速度相関法)を用いた計測によって流れ場の計測を行い,伸長を受けた火炎,その燃焼速度に対して電界が与える影響を考察する. 数値計算に関しては,前年度に引き続き燃焼の反応機構のみを用いた系において,低温でのラジカル投入を模擬した解析を行った.パラメータとして周波数を変更し,実験において確認されていた,火炎核の燃え広がり速度の周波数に対する非線形な関係を再現することができた.計算結果の化学反応を詳細に考察することによって,次の放電の印加タイミングにおけるCH3Oの濃度に依存して,化学反応的に供給されたエネルギーが熱に変化するか連鎖分岐反応に寄与するかを決定することを明らかにした. 研究発表に関しては,新型コロナウィルスの流行以前に投稿を検討していたACTS(Asian Conference on Thermal Sciences)の延期に伴い,発表の機会を逃した.
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今後の研究の推進方策 |
衝突流バーナ上に形成した予混合平面火炎に対して垂直方向に電界を印加することによって,火炎の位置および化学反応,速度場に対して及ぼす影響を調べる.初めに直流電界の印加を対象として水平方向からのカメラによる計測によって火炎の移動を計測する.化学反応場に注目するために,CHおよびOHの自発光計測だけでなく,レーザー誘起蛍光法をもちいたCH2Oの計測を行う.また粒子画像流速測定法をもちいた速度場の計測を行い,未燃混合器の流速と火炎の移動速度をもちいて算出した燃焼速度の評価を行う.上記の化学反応場における結果と速度場における結果を用いて,直流電界印加時による輸送および化学反応の影響を評価する.また,消炎に対して注目した実験を行い,電界を印加した条件において供給ガスの当量比を変更することによって,消炎に対して電界の印加が与える影響についても検討を行う.ギャップ長さや供給流速を変更することによって火炎の伸長率と電界強度を操作し,それぞれの伸長率における電界の消炎限界に対する影響を整理する.次に,交流電界を印加することによって,電界の周波数や印加電圧が及ぼす影響について直流電界と同様の手法を用いて調査する.実験の結果は,低周波数の直流電界に近い条件においてはイオン風などの流動場による影響をもちいて,高周波数においては化学反応と熱による効果をもとに整理する.
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