研究課題
昨年度に作製した、一部の表皮幹細胞に人為的にDNAダメージを誘導し、かつ、その細胞を可視化できるマウスモデルのさらなる解析を進めたところ、DNAダメージを受けた表皮幹細胞では、ニッチである基底層に存在しながら、分化を誘導するシグナルであるNotchシグナルが亢進していることを明らかにした。また、p53シグナルの誘導も見られたことから、過去の報告と合わせて考えると、DNAダメージ-p53活性化-Notchシグナル亢進-表皮幹細胞の分化、というメカニズムでDNAダメージの生じた表皮幹細胞が組織から消失していると考えられた。p53シグナルやNotchシグナルに関連する遺伝子に変異の入ったクローンが、加齢したヒトの表皮組織に見られるという報告(Martincorena et al., Science. 2015)もあることから、加齢に伴い上記の排除機構は破綻していく可能性が考えられた。これらの研究結果は昨年度に明らかにした内容と合わせて学術雑誌に投稿し、現在publishされている。また、in vitroで一部の細胞のみにDNAダメージを誘導できる系の構築にも成功し、より迅速に、網羅的解析も含めた様々な評価を行うことが可能になった。さらに、preliminaryではあるが、in vivoでの検討において、DNAダメージを誘導された本来排除される表皮幹細胞が排除されなくなる条件も見出しており、加齢に伴う排除能の低下をどのようにすれば抑制できるか、またその場合、加齢に伴う表皮の機能低下を防げるかという検討をする準備が整いつつある。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件)
Developmental Cell
巻: 56 ページ: 3309~3320.e5
10.1016/j.devcel.2021.11.018