研究課題
本年度は、逆遺伝学的手法によるエンテロウイルスのカプシド変異と遊離塩素耐性の因果関係の解明と題してスイス連邦工科大学ローザンヌ校で研究活動を実施した。滞在期間中、大きく3点のテーマについて取り組んだ。第一にエンテロウイルスの野生株の消毒耐性に関するデータに関して、派遣先グループと所属グループがこれまで報告したデータに加えて、新たにデータを取得した。これらについて、論文発表の準備を行うとともに、構造生物学的な考察を新たに行った。また、本テーマにより、因果関係をつかさどるカプシド変異に関する候補を同定した。第二に、逆遺伝学的手法を実施するために実験技術を取得し、ライブラリを作成した。現在、これらのライブラリを消毒試験に供し、耐性に関するプロファイルを得ている。引き続き派遣先機関で研究を続け、ウイルスの消毒耐性に関する知見を深化させる予定である。今後、逆遺伝学的手法により各アミノ酸変化の影響を明らかにすることで、ウイルスの不活化メカニズムの深淵な理解が進むことが期待される。また、上記の主たる研究活動と並行して、新型コロナウイルスの下水疫学調査に関わる濃縮技術の手法比較を国内の研究者と実施した。研究成果より、濃縮技術として広く利用されているポリエチレングリコール沈殿法の細かな手順の違いが濃縮回収率に影響を及ぼすこと、及び、下水中に高い濃度で存在するトウガラシ微斑ウイルスが回収率の指標となることも明らかにした。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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