研究課題/領域番号 |
20J10298
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
赤星 佑 自治医科大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | 造血幹細胞移植 / 移植片対宿主病(GVHD) / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
同種造血幹細胞移植は白血病などの造血器疾患に対する標準療法の一つとして広く用いられている。しかし、ドナー細胞が患者臓器をも攻撃することで引き起こされる移植片対宿主病(GVHD)により、未だに多くの症例が死に至ってしまうのが現状であり、GVHDを正確かつ客観的に評価できる、非侵襲的バイオマーカーの確立は重要な課題である。GVHDの進展において、マクロファージが重要な役割を果たしていることに着目し、1.マクロファージの活性化や線維化に関連するGalectine-3 (GAL3)、2.そのリガンドのMac 2-Binding Protein (M2BP)、3.さらに本邦で開発されたM2BPの糖鎖の変化をWFAレクチンで検出する新規糖鎖マーカーのMac 2-Binding Protein Glycan Isomer (M2BPGi)の3つをバイオマーカー候補として解析を行った。同種造血幹細胞移植後患者110名をDiscovery cohortとValidation cohort1に分けて、解析を行ったところM2BPGiは両群で非再発死亡と強い相関を認めた。この結果は50名のValidation cohort2でも確認された。また、M2BPGiは肝臓GVHDと非常に強い相関があり、臓器特異的なバイオマーカーであることが示唆された。そこで、今後は剖検症例の各臓器検体を使用し、M2BPGi上昇のメカニズムを探索を行う方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Wisteria Floribunda Agglutinin (WFA)+- Mac-2 Binding Protein (M2BP)(WFA+-M2BP : M2BPGi)が移植後非再発死亡に対する強い予測能を有し、複数のValidation cohortでも同様の結果が確認できた。これら一連の研究成果を、第82回日本血液学会学術集会で発表を行い、高く評価された。
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今後の研究の推進方策 |
M2BPGiが造血幹細胞移植後晩期の強力な予後予測因子であることが明らかになった。さらに、M2BPGiは肝臓GVHDと非常に強い相関があり、一方で肺のGVHDとは相関を認めなかったことから、臓器特異的なバイオマーカーであることが示唆された。そこで、今後は剖検症例の各臓器検体を使用し、M2BPGi上昇のメカニズムを探索を行う方針である。これまでのバイオマーカーはタンパク質の量的評価のみで行われてきたが、タンパク質表面糖鎖構造の質的評価の有用性が造血幹細胞移植領域で初めて示され、一連の研究が新たなGVHDバイオマーカー研究のさきがけとなることが期待される。
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