研究課題/領域番号 |
20J10427
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
羽村 靖之 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | ガンマ・ポアソンモデル |
研究実績の概要 |
カウントデータのための global-local 縮小事前分布に関する論文が、査読付き国際学術誌である Bayesian Analysis に受理された。この研究では、多くの小さなノイズといくつかの大きな信号を含むようなカウントデータを分析する枠組みを扱い、既存のガンマ・ポアソンモデルよりも大きな信号をとらえやすい手法を開発した。具体的には、ベイズ推定量が tail robustness (観測値が大きい時に観測値と推定量の差が小さくなるという性質)を持つための条件を導いた。この理論結果に基づき、二種類の縮小事前分布を提案した。さらに提案手法の下での事後分布からの効率的なサンプリングの方法を与えた。最後に、シミュレーション実験と実データへの適用を通して、既存手法と比べた提案手法の性能を示した。 負の多項分布の母数の同時推定に関する論文が、査読付き国際学術誌である Journal of Multivariate Analysis に受理され、公刊された。また、研究成果を統計関連学会連合大会で発表した。ただし、負の多項分布は、ポアソン分布をガンマ分布により混合して得られる、カウントデータに対する多変量分布である。この研究では、最初に、ある形の縮小推定量が最小分散不偏推定量を優越するための一般的な十分条件を導出し、その条件を満たすような経験ベイズ推定量を構成した。次に、階層的縮小事前分布を導入し、その事前分布に基づく階層的一般化ベイズ推定量が適当な条件下で最小分散不偏推定量を優越することを証明した。また、対応する事後分布からのギブズサンプリングの方法を示した。最後に、縮小推定量と最小分散不偏推定量の性能をシミュレーションにより比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
多くの小さなノイズといくつかの大きな信号を含むようなカウントデータを分析する枠組みにおいて global-local 縮小事前分布のクラスを導入する研究に取り組んだ。この研究で扱った手法は、通常のガンマ・ポアソンモデルと異なり、 tail robustness を持つ。研究成果をまとめた論文が、査読付き国際学術誌である Bayesian Analysis に受理された。 加えて、負の多項分布の母数の同時推定の問題においてベイズ的な縮小推定量の有効性を示す研究に取り組んだ。ただし、負の多項分布は、ポアソン分布をガンマ分布により混合して得られる、カウントデータに対する多変量分布である。研究成果をまとめた論文が、査読付き国際学術誌である Journal of Multivariate Analysis に受理され、公刊された。研究成果を統計関連学会連合大会で発表した。 他にも関連する研究を行ってきている。このように、様々な進展が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、カウントデータのための global-local 縮小事前分布の研究や、負の多項分布の母数のベイズ縮小推定の研究等において、様々な進展が得られている。これまでの研究で得られた知見を活かして、関連する異なる形の問題の研究を行っていきたい。例えば、不均一性がある場合の負の多項分布に基づく推定・予測の研究について、論文の受理もしくは公刊を目指したい。 当初の計画では、研究成果を国内外の様々な学会で発表することを考えていた。また、他の研究者との交流や共同研究について考えていた。しかし現状では、特に海外の研究者との交流等について、目途が立っていない。このため、当初の計画と比べて、新たな関連する研究成果を得ることや論文の形での成果発表に重点を置くことを考えている。適当な学会発表の機会があれば、その機会を利用したい。例えば、2021年度の統計関連学会連合大会は「ハイブリッド方式による開催」とのことなので、適当な形での参加を考えている。
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