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2020 年度 実績報告書

原発性免疫不全症の遺伝的素因解明に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20J10721
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

谷田 けい  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2022-03-31
キーワード転写制御異常 / 免疫不全症
研究実績の概要

1)転写制御異常により発症するIEIの病態解析について
当初の研究計画であった患者由来の検体でのChIP-qPCRやChIP-seq、RNA-seq等の実施はコロナ禍による受診控え等で延期となっている。CRISPR/dCas9システムの構築については、pEF1a-BirA-V5-neoおよびpEF1a-FB-dCas9-puroのプラスミドを購入した(Addgene社)。HEK293Tにトランスフェクションし、蛋白発現を確認した。前者は抗V5抗体により良好に検出されたが、後者は抗FB抗体によって蛋白が検出されなかったため、plasmidの全長をシークエンスし配列を確認した。蛋白発現に重要なpromoter領域と、FB-tag、dCas9の配列には問題がなく、plasmidの精製、トランスフェクションを再度実施中である。
2)STAT3の機能獲得型変異を有する日本人患者の臨床的および免疫学的多様性に関する研究
網羅的な遺伝子解析により、既知の遺伝子異常をより迅速に診断することが可能になったとともに、同じ遺伝子異常の中にも多様な病態や表現型が存在することがわかってきた。
Signal transducer and activator of transcription 3(STAT3)は、シグナル伝達や転写を活性化することで細胞の分化や増殖を制御するタンパク質である。STAT3遺伝子の生殖細胞における機能喪失型変異は常染色体優性高IgE症候群をもたらすが、体細胞における機能獲得変異はいくつかの悪性腫瘍と関連しているとされている。近年、STAT3の生殖細胞型機能獲得変異が、1型糖尿病や炎症性腸疾患などの自己免疫疾患と関連することがわかってきた。われわれは、3つの新奇変異を含む、生殖細胞におけるSTAT3変異を有する日本人5家系を同定し、臨床的および免疫学的考察を加えて論文化し報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細胞株にCRSPR/Cas9を用いて変異を導入する実験が思ったように進んでおらず、材料や実験方法も含めて再検討が必要と考えられる。一方今後の研究課題として、luciferase assayの準備は着々と進んでいる。コロナ禍で患者の受診控え等もあり、患者検体の収集が予定通り進んでいないこともあり、当初の予定よりは遅れてはいるが、準備は整いつつある。

今後の研究の推進方策

転写活性(Luciferase assay)
患者由来の変異が果たして転写活性を低下させているかを間接的に確認するために、pGL4.10-luciferase2 vectorのmulti cloning siteに、BTK遺伝子のpromoter領域配列(Exon1の前半部分までを含む約1800bp)を挿入したもの(pGL4.10-BTKpro)と、同配列に加え、intron1の3’配列側1029bpおよびExon2の5’側配列の一部を含むもの(pGL4.10-BTKpro+1029)を挿入したものを作成し、B細胞系細胞株でBTK発現のあるReh、Daudi、Rajiと、T細胞系細胞株でBTK発現のないJurkatを用い、上記のベクターをトランスフェクションしLuciferase assayを行う。
上記の実験系によって、intron1配列が転写活性を増強しうるか、また、患者でみられたintron1の変異が転写活性に影響を及ぼすかどうかを検証する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Clinical and Immunological Heterogeneity in Japanese Patients with Gain-of-Function Variants in STAT3.2021

    • 著者名/発表者名
      Tanita K, Sakura F, Nambu R, Tsumura M, Imanaka Y, Ohnishi H, Kato Z, Pan J, Hoshino A, Suzuki K, Yasutomi M, Umetsu S, Okada C, Takagi M, Imai K, Ohara O, Muise AM, Okada S, Morio T, Kanegane H.
    • 雑誌名

      J Clin Immunol.

      巻: 41(4) ページ: 780-790

    • DOI

      10.1007/s10875-021-00975-y

    • 査読あり
  • [学会発表] 経口ロタウイルスワクチン株が検出された重症複合免疫不全症2020

    • 著者名/発表者名
      谷田けい
    • 学会等名
      第52回日本小児感染症学会総会・学術集会
  • [学会発表] Patient with the Gain-of-function mutations in STAT3 present with a variety o autoimmune disease.2020

    • 著者名/発表者名
      Kay Tanita
    • 学会等名
      19th Biennial Meeting of the European Society for Immunodeficiencies
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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