研究課題
外反母趾患者に先立ち、若年健常者を対象として足内筋の1つである母趾外転筋への電気刺激の即時効果を検証する実験を行った。若年健常者を2群に分け、電気刺激群には母趾外転筋に電気刺激介入を、Sham群には電極を張り付けるが電流を流さない状態を20分間行った。電気刺激介入にはESPURGE(伊藤超短波株式会社)を用いた。これらの前後で母趾関節可動域、母趾外転筋の筋活動を測定し、2群間の介入効果の差を検討した。この結果、電気刺激群で、運動時の母趾関節可動域、母趾外転筋の筋活動、母趾外転筋力がSham群と比較して有意に改善した。母趾外転筋への筋電気刺激によって、運動の再教育が行われ、筋機能や運動機能が改善したと考えられる。この結果をまとめ、論文の執筆・投稿を行った。2020年10月にElectromagnetic Biology and Medicine誌に受理、掲載された。
2: おおむね順調に進展している
若年健常者の母趾外転筋電気刺激に関する研究について、解析結果を迅速に論文化し、査読付き国際誌に受理・掲載されることとなった。これは入念な計画のもと研究を実行し、努力を重ねた結果と考えられる。さらに、コミュニケーションを取るのが困難な状況の中でも、研究室の他の学生への指導にも注力し、研究計画・解析結果に対する助言や議論を積極的に行っている。この結果、共著者として査読付国際誌に6報が受理・掲載されるなど、多くの業績を残すことができている。これらのことから、新型コロナウイルス感染症の流行という困難な状況下でもできる限りの研究の進展を試み、達成してきたと評価できる。
新型コロナウイルス感染症の流行状況により、高齢者測定の可否が不明な状況にある。可能である場合には、研究計画通りに長期介入研究についてリクルートを行い,介入を行う。この際,介入前後に足部レントゲン撮影を行い,母趾外反角を測定する。また,電気刺激介入にはESPURGE(伊藤超短波株式会社)を用いる。中間解析を行い,その結果を抄録として日本物理療法学会に提出する準備を行う。目標数に達するまでは長期介入のリクルート,測定を行う。データ集積後,解析を行う。即時効果に関する研究発表を国際リハビリテーション医学会等の国際学会にて行う。その後長期効果に関する論文執筆を行い,Archives of physical medicine and rehabilitation等のリハビリテーション系の有名国際誌に投稿する。測定が不可能である場合は、外反母趾を含む足部の形態変化についての過去の知見をまとめるため、システマティックレビューの執筆を進める。このシステマティックレビューの目的は、外反母趾を含む足部変形と膝関節疾患である変形性膝関節症との関連を明らかにすることである。これを明らかにすることで、足部と膝関節の両方への介入によってより良い治療成果を得られる可能性を検討したいと考える。方法としては、変形性膝関節症患者と健常高齢者の足部を比較している論文を対象とし、論文のリサーチを行う。そして包含する論文の内容をまとめ、アウトカムの抽出を行いメタアナリシスによって結果を統合する。さらに追加解析として、外反母趾を含む足部変形の程度が膝疾患の重症度や疼痛の程度と関連するかを検証する。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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