研究課題/領域番号 |
20J11357
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長谷川 祐也 北海道大学, 水産科学院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | 卵成熟誘起ステロイド / DHP / チョウザメ / 卵成熟 / LC/MS/MS / GTH / LHRH |
研究実績の概要 |
卵成熟誘起ステロイド(MIS)は、卵成熟および排卵を誘起するホルモンであり、魚類では主に17α, 20β-ジヒドロキシ-4-プレグネン-3-オン(DHP)がMISとして同定されている。しかし、チョウザメ類ではMISが同定されておらず、その産生機構も不明である。本研究では、飼育下のチョウザメ類の卵成熟および排卵誘導を成功させる上で重要なMISの同定とその産生機構を明らかにすることを目的とする。 まず、これまでにチョウザメ類のMISとして絞り込んだ3つのステロイドの卵成熟誘起活性をin vitro卵成熟アッセイにより調べ、高い活性を示すステロイドを同定する。それら産生に関わるステロイド合成酵素遺伝子のクローニング、酵素活性解析、発現パターンの解析および発現細胞の特定を行ない、チョウザメ類の卵成熟を制御するステロイド産生機構を解明する。 これまでに、チョウザメ類の卵成熟期に産生されるステロイドを包括的に調べ、DHPの産生量が高いことを明らかにした。そこで、DHP産生に関わる4つのステロイド合成酵素関連遺伝子(cyp17a1/2, hsd3b, hsd17b12l)の酵素活性および発現パターンを調べ、これら4つの遺伝子がDHP産生を制御し、卵成熟に関与することを明らかにした。 今後は卵成熟期に産生されるステロイドの卵成熟誘起活性を詳細に調べ、チョウザメ類のMISを同定する。また、RNA-Seq解析により絞り込んだ卵成熟期に情報制御されるステロイド合成酵素関連遺伝子の機能を調べ、チョウザメ類の卵成熟機構を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホルモン投与により卵成熟および排卵を誘導したチョウザメ類から連続採取した卵濾胞を用いてDHP産生を制御するステロイド合成酵素遺伝子 のmRNA量を定量PCRにより測定した。また、その個体から採血を行ない時間分解蛍光免疫測定法により血中DHP量を測定し、hsd3b,cyp17a1/2, hsd17b12lの4つのステロイド合成酵素関連遺伝子がDHP合成および卵成熟に関与することを明らかにした。 また、個体数を増やし、invitroおよびinvivoにおける卵成熟期に産生されるステロイドの包括的解析を行なった結果、DHPの産生量が最も高いことがわかった。 さらに、DHP産生を制御するこれら4つの遺伝子において、クローニングしたプロモーター領域を組み込んだ発現プラスミドと、黄体形成ホルモン(LH)受容体を共トランスフェクションした後、組換えLHを添加し、これら遺伝子のLHによるcAMP配列を介した転写開始の有無およびLHにより誘導されるかどうかを調べた。 その結果、hsd3b,cyp17a2の転写調節は転写因子を介さず直接制御されることがわかった。また、LHにより転写調節されることもわかった。一方、hsd17b12lの転写調節は、転写因子を介する可能性が考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、卵濾胞の大量培養、大量抽出を行な い、培養液抽出物を高速液体クロマトグラフィーにより分離し、in vitro卵成熟アッセイ法により、それぞれのステロイドを含む分離画分の卵 成熟誘起活性を測定する。また、ステロイド標品を用いてIn vitro卵成熟アッセイを行なうことで、既知ステロイドの卵成熟誘起活性も測定し、チョウザメ類のMISを同定する。 また、cyp17a1/2,hsd3b,hsd17b12lの発現細胞が莢膜細胞であるのか顆粒膜細胞であるのか in situハイブリダイゼーション法により調べる。
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