研究課題/領域番号 |
20J11358
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
SALINGRE Maelys 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | 複合語 / 連濁 / 母音交替 / 複合語アクセント / 式保存 / 音韻構造 |
研究実績の概要 |
本研究は母音交替・連濁・アクセントという複合語のプロセスの関係を探り、音韻論と形態論の関わりを明らかにすることを目指す。令和2年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、当初予定していた実験研究を実施できなかったため、記述研究に集中した。 記述研究は数冊の国語辞典とアクセント辞典を利用し、1万程度の複合語のデータベースを作成し、統計的に分析した。連濁とアクセントについては、地名・人名に関する先行研究と異なり、同時に現れやすいという結果を得た。母音交替については、連濁と複合語アクセントと関係がなく、後部要素の長さや要素の統語的関係の影響を受けることがわかった。更に大阪方言では、交替している形のほうが式を保存しない傾向があり、母音交替する形が独自のアクセントを持つ異形態ということがわかった。 令和2年度で実施できなかった実験を令和3年度に行い、上記の長さの影響を確認できた。要素が2拍以下のほうが母音交替が起こりやすく、3拍以上は起こりにくいということが明かになった。3拍以上の場合に起こりやすい連濁と逆の効果であるが、日本語の韻律句が2フットで形成されているの更なる証拠と解釈でき、日本語の韻律構造と形態論との関わりについての理解を深めることができた。また、初めての長さの段階的な影響も観察され、日本語の複合語と、音韻論と形態論の関わりについての研究に貢献できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は新型コロナウイルスの影響のため、予定していた対面実験の実施が混乱だった。しかし、実験実施方法をオンラインに変更し、繰越で令和3年度に実施できた。 記述研究については、データベースを完成させ、今まで先行研究で報告されなかった複合プロセスの振る舞いを発見でき、期待以上の研究成果があった。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は統計分析と実験分析の結果をもとに、理論研究を行った。
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