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2020 年度 実績報告書

麹菌の過剰な発酵熱発生のメカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 20J11473
研究機関琉球大学

研究代表者

渡嘉敷 直杏  琉球大学, 農学部, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2022-03-31
キーワード発酵熱 / 麹
研究実績の概要

固体発酵である麹の製麹時には麹菌の生育に伴って発酵熱が生じる。麹菌の呼吸鎖には効率的なエネルギー生産の観点から有利に働かないと予想される代替酸化酵素であるAoxが見つかっており、余剰還元力を熱エネルギーに替えることにより発熱が生じていると考えられた。発酵熱への関与を調べる為、黄麹菌aoxA 破壊株およびaoxA 高発現株の造成を行った。造成した株の表現型確認のためミトコンドリアの複合体IVを阻害するアジ化ナトリウムを添加したプレートで生育を確認するとaoxA 破壊株の生育が見られなかった。このことからaoxA はアジ化物耐性呼吸に関与することが示唆された。
これらの株を用いて小規模な製麹を行い、品温の変化を温度計で測定した。製麹時の株間の差が最もあらわれると考えられた「最高品温」状態を測定する為、測定誤差要因である手入れを行わずに麹を造ることを目指すと、製麹自体が困難になった。このことから「最高品温」状態の健全な麹を造る為には「手入れ」作業が必要不可欠であることが分かった。また、手入れを行いながら、麹を造ることは品温にばらつきが生じ、なおかつ湿度のコントロールが出来ず安定した製麹を行うことが困難で定量測定は非常に難航した。このばらつきを解消する目的で無通風箱培養法(Ito et. al, 2011)を参考にし、製麹を行った。その結果、手入れを行わずとも製麹が可能になり、菌株間の品温が比較可能になった。その結果、品温測定の結果から、黄麹菌aoxA 破壊株と高発現株間で最高品温の温度差が小さい事が示唆された。
黒麹菌におけるaox 遺伝子を含む多重遺伝子破壊株の取得、および多目的な用途で利用可能な新規薬剤耐性マーカー遺伝子の作出を並行して試みた。真菌の細胞膜合成を阻害するイトラコナゾールとその耐性遺伝子として黒麹菌由来のcyp51A 遺伝子を用いて耐性マーカー遺伝子の作出を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

比較的順調に進行しているものの、感染症の流行により通常時に比べて必要物品類の入手や研究室運営での制限が一時的に行われた為、当初予期していない面で計画的ではない点がある。

今後の研究の推進方策

引き続き製麹に関する誤差要因を取り除き、信頼性の高い結果が得られるよう実験デザインを行う。また、ターゲットとなる遺伝子の発現量に関して、詳しく見ておく必要性があると考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Development of an itraconazole resistance gene as a dominant selectable marker for transformation in <i>Aspergillus oryzae</i> and <i>Aspergillus luchuensis</i>2021

    • 著者名/発表者名
      Tokashiki Jikian、Toyama Hirohide、Mizutani Osamu
    • 雑誌名

      Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry

      巻: 85 ページ: 722~727

    • DOI

      10.1093/bbb/zbaa080

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 麹菌におけるイトラコナゾール耐性を指標とした形質転換用マーカーの開発2020

    • 著者名/発表者名
      渡嘉敷直杏, 水谷治, 外山博英
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2020 年度大会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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