研究課題/領域番号 |
20J11564
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
澤田 祐甫 北海道大学, 情報科学院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | シリコンフォトニクス / モード分割多重技術 / 光モードスイッチ |
研究実績の概要 |
ICTの利活用が進む中,大容量・低消費電力・低遅延な光伝送技術が求められている.チャネル数の拡大と同時に,ネットワーク利用効率を高めることが不可欠であり,光スイッチが重要な要素の1つである.将来的には,チップ間・内といった超短距離通信においても光スイッチが必要であると考えられる. 1つの光源でチャネル数を増やすことができるモード分割多重(Mode Division Multiplexing: MDM)技術は,集積性や消費電力の観点から超短距離通信と相性がよく,MDM伝送に対応する光モードスイッチが必要になると考えている.本研究は,高次モードに対してもスイッチング動作(OFF/ONの切り替え)を行うことで,光モードスイッチの構成に必要な素子数の削減や配線の簡易化を目指している. 本年度は,光モードスイッチの主要な構成素子になる任意モード変換デバイスの設計に注力した.検討している任意モード変換デバイスは,0次モードと任意の4モード(0次~3次)の間の変換が可能なデバイスである. 0次モードと1次モード間のスイッチング動作を行う「2モードスイッチ」, 0次モードを2次モードに変換し,1次モードをそのまま透過する「モード変換器」, 0次モードと1次モード間のスイッチング動作および2次モードと3次モード間のスイッチング動作を行う「デュアルモード2モードスイッチ」の3点で構成される.シミュレーション結果は,良い性能が得られており,国際会議へ投稿を検討している.任意モード変換デバイスは,現在,試作段階に入ったところであり,次年度に測定して実験実証を行う予定である. 光モードスイッチ関連のモード制御デバイスの設計に関して,国際会議に2件の口頭発表を行い,国際学術論文誌に1件採録された.また,次年度の国際会議に1件の口頭発表が決まっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,光モードスイッチの構成に必要な素子の設計を完了することを予定しており,光モードスイッチの構成に必要な素子の設計は完了した.設計を終えた素子を組み合わせ,任意モード変換デバイスのシミュレーションを行い,期待通りの動作を確認した.設計した任意モード変換デバイスは,現在,試作段階であり,次年度の測定実験で実験実証に取り掛かることができる.研究の進捗としては,予定通りであったと考えている. 研究成果の発表に関しては,当初は,国内学会と国際会議で2件ずつ,学術論文を1件発表することを計画していた.結果としては,国際会議2件,学術論文1件の発表であった.本年度は,国内学会における発表を行わなかったが,本研究を進める中で,素子の設計に用いている自動設計手法である波面整合法に関して,新たな知見を得た.これに関しては,次年度に研究成果として発表することを考えている. 以上から,総合的に考え,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り,光モードスイッチの構成に必要な素子の設計を既に終えている.今後は,現在試作中の任意モード変換デバイスが納品され次第,測定実験を通して実験的な実証を行う.また,独自に発展させてきた波面整合法の運用方法に関して,さらに研究を進める. 波面整合法で設計したモード合分波器に関する実験実証にて,国際会議での口頭発表が既に決まっている.設計した任意モード変換デバイスに関しては,国際会議に投稿予定である.その他,波面整合法で設計した光導波路デバイスに関して,学術論文にて報告する予定である. 最終的に,任意モード変換デバイスの実験実証を行った結果を報告することまでを目指している.
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