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2020 年度 実績報告書

動脈硬化を予防するマイオカイン探索と、バリン投与と運動の併用による予防効果増強

研究課題

研究課題/領域番号 20J11640
研究機関静岡県立大学

研究代表者

榛葉 有希  静岡県立大学, 薬食生命科学総合学府 食品栄養科学専攻, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2022-03-31
キーワードマイオカイン / BAIBA
研究実績の概要

【背景・目的】持久運動トレーニングは動脈硬化進展を抑制する。その理由として申請者はこれまでに、筋持久力向上(転写共役因子PGC-1αの発現増加)が関与することを明らかとした。そこで本研究では、筋肉から動脈硬化進展を防ぐ新規ホルモン様物質(マイオカイン)が分泌されているのではないかと考えた。加えて、バリン(アミノ酸の一種)から合成される既知マイオカインβアミノイソ酪酸(BAIBA)が動脈硬化進展を抑制し、バリン投与と運動の併用が動脈硬化進展を強力に抑制するのではないかと考えた。以上より本研究では、①動脈硬化進展を抑制する新規マイオカインの探索、②BAIBAやその前駆体であるバリン投与が運動の動脈硬化進展抑制作用を増強するか否かについて検討した。
【方法・結果】課題①: PGC-1α依存的な新規マイオカイン候補(以下、候補因子)16種について、HEK293T細胞に過剰発現させた細胞の培養上清もしくは、新規に合成・購入した組換えタンパク質を準備した。TNFα炎症誘導した血管内皮細胞に、上記候補因子を添加することで、その抗動脈硬化作用を評価した。その結果、候補因子Xの組換えタンパク質、Y過剰発現細胞の培養上清の添加により、血管内皮細胞におけるTNFα誘導的なVCAM-1(動脈硬化の初期病変に関与)遺伝子発現量の増加抑制を引き起こした。
課題②:BAIBAを動脈硬化易発症モデルマウスApoE-KOマウスに14週間投与し、動脈硬化進展への影響を調べた。その結果、動脈壁へのプラーク蓄積が抑制され、動脈硬化巣におけるマクロファージ浸潤抑制やMCP-1(動脈硬化初期病変の形成に関与)の発現抑制といったメカニズムを明らかにした。
【考察・結論】いくつかの候補因子については、抗動脈硬化作用を示す可能性が示唆され、既知マイオカインBAIBAの投与が動脈硬化進展を抑制することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究代表者は今年度、課題①PGC-1α依存的な新規マイオカインが動脈硬化抑制に貢献するか否かと、課題②マイオカインBAIBAの前駆体であるバリン摂取と運動の併用が、BAIBA分泌増加を介して動脈硬化を抑制するか否か、の2点の課題について取り組んだ。
課題①:PGC-1α依存的な新規マイオカイン16種について、HEK293T細胞に過剰発現させた細胞の培養上清、もしくは購入・新規に合成した組換えタンパク質を準備した。それを用いて血管内皮細胞を用いた評価系により評価した。その結果、その結果、候補因子Xの組換えタンパク質、Y過剰発現細胞の培養上清の添加により、血管内皮細胞におけるTNFα誘導的なVCAM-1(動脈硬化の初期病変に関与)遺伝子発現量の増加抑制を引き起こした。
課題②:βアミノイソ酪酸(BAIBA)を動脈硬化易発症モデルマウスApoE-KOマウスに14週間投与し、動脈硬化進展への影響を調べた。その結果、動脈壁へのプラーク蓄積が抑制され、動脈硬化巣におけるマクロファージ浸潤抑制やMCP-1(動脈硬化初期病変の形成に関与)の発現抑制といったメカニズムを明らかにした。加えて、その動脈硬化進展抑制効果における血中リポタンパク質プロファイルの変化は限定的であった。本研究は、原著論文として受理された (Biol. Pharm. Bull.,2020)。
以上の結果より、「おおむね順調に進展している」と判断する。

今後の研究の推進方策

今後は、課題①PGC-1α依存的なマイオカインが動脈硬化抑制に貢献するか否かについて、残りの新規マイオカインの合成・評価を進める。②BAIBAやその前駆体であるバリン投与が運動の動脈硬化進展抑制作用を増強するか否かについて、マウスにバリン摂取を摂取させながら運動トレーニングを行うことで血中BAIBA濃度が増加するか否かを明らかにする。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] β-Aminoisobutyric Acid Suppresses Atherosclerosis in Apolipoprotein E-Knockout Mice2020

    • 著者名/発表者名
      Shimba Yuki、Katayama Keigo、Miyoshi Noriyuki、Ikeda Masahiko、Morita Akihito、Miura Shinji
    • 雑誌名

      Biological and Pharmaceutical Bulletin

      巻: 43 ページ: 1016~1019

    • DOI

      10.1248/bpb.b20-00078

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 持久運動トレーニングの抗動脈硬化作用におけるPGC-1αとマイオカインの役割2020

    • 著者名/発表者名
      榛葉有希, 片山桂吾, 妹尾奈波, 十河華子, 池田雅彦, 三好規之, 守田昭仁, 三浦進司
    • 学会等名
      第52回日本動脈硬化学会総会
  • [学会発表] PGC-1αとマイオカインが、持久運動トレーニングの抗動脈硬化作用で果たす役割2020

    • 著者名/発表者名
      榛葉有希, 片山桂吾, 妹尾奈波, 十河華子, 池田雅彦, 三好規之, 守田昭仁, 三浦進司
    • 学会等名
      第74回日本栄養・食糧学会大会

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公開日: 2022-12-28  

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