研究実績の概要 |
本研究課題では、検証可能暗号系クラスVerifiable Encryption(VE)に関する数理的基礎研究を目的とし、VEクラスの構成、既存暗号系とVEの関係性の検証、実装を目標とし、2020年度は(1)VEクラスの構成および(2)既存の暗号系とVEクラスとの関係性の導出について取り組んだ。 2020年度における本研究の総括を述べる。(1)では、「2つの暗号文はそれぞれ異なる2つの鍵k,k'でそれぞれ暗号化されている」、「暗号化に使用した2つの鍵k,k'を用いた復号結果は2つの平文の距離と一致する」という性質を満たす特別な暗号系クラスVerifiable Encryption(VE)を定義した。(2)では、当初の予定通り、One-Time Pad、Fiat-Shamir Identificationアルゴリズム、Schnorr Identificationアルゴリズムに対して検証を行い、3つともVEクラスに含まれることを証明した。 本年度における研究発表では、新型コロナウイルスの影響により、国内外への出張ができず、発表予定であった2つの国際会議が中止となってしまった。また、学位審査のため博士論文の執筆・発表準備等により論文投稿、学会発表の機会が減ってしまったことも影響し、全体として想定よりも少ない結果となった。 全体のまとめとして、研究課題の目標は達成したが、研究発表に関しては意に沿わない結果となってしまった。就職のため、特別研究員は辞退という結果になったが、今後もこの研究課題の遂行に努めていく所存である。
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