泡沫とは液体中に気泡が内包された状態のもので、洗剤や化粧品など、幅広い分野で応用されている。しかしながら、泡沫の動的な特性についてはあまり理解されていないのが現状である。泡沫は液体分率(泡沫に含まれる液体量)が低い順に、ドライ、ウェット、バブリーの3つの状態に分類され、ウェットとバブリーの境目は気泡同士の接触がちょうどなくなるジャミング転移に対応している。前年度の研究では、ジャミング転移近くのウェット泡沫の緩和特性について、実験・数値的に明らかにした。 また、弾性的なドライと粘性的なウェットの境目は気泡の再配置の仕方に関係した転移であることが知られているが、詳細なダイナミクスについては明らかになっていない。 そこで本年度は、泡沫のドライ-ウェット転移近傍における緩和のダイナミクスについて実験的に調べた。当初の研究計画では、泡沫に空気を注入・吸引したときの応答と緩和の様子を観察する予定だったが、実験手法に困難な部分が生じたため、前年度と同様の手法を用いて、泡沫に液体注入という摂動を与えたときの様子を観察することで、緩和のダイナミクスついて実験的調べた。その結果、ドライ-ウェット転移近傍では、気泡の逐次的再配置といった特徴的な緩和挙動がみられることがわかり、これらのダイナミクスについて画像解析を用いて定量的に明らかにした。これらの研究結果については、学会等で複数回発表を行った。また、これらの研究結果をまとめた論文を現在執筆している。 本年度に博士論文の執筆も行い、博士の学位を取得した。
|