研究課題/領域番号 |
20J11894
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岩佐 康弘 広島大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | アイデンティティ発達 / 大学生 / 生き方 / 教員養成課程 |
研究実績の概要 |
教員養成課程の学生の中には,将来の進路が想定された課程にいるにも関わらず,生き方を十分に探索できていないまま教員に就き,就職直後に職場不適応に陥る者がいる。 本申請課題の目的は,学生が,教師を目指す際の進路上の悩みを解決させた上で,将来の職場適応に繋がる,アイデンティティ(教師として生きるという自覚)をどのように発達させているのかを検討することであった。 令和2年度の研究成果は主に2つである。第1に,教員養成課程という文脈におけるアイデンティティ発達を検討する上での今後の課題に関する論文を執筆し,国内査読付き雑誌『青年心理学研究』に掲載された。本論文では,(a) 教員養成での教育課程に即したアイデンティティ発達の検討の必要性,(b) 多様な教職志望動機を自己決定理論に基づいて整理する必要性,(c) アイデンティティ発達理論をふまえた職場適応支援の重要性,の3点について論じた。第2に,教育実習期間における,教員養成課程の学生のアイデンティティ発達に関して,国際学会のシンポジウムで発表した。本シンポジウムでは,教育実習の直前・直後期において,学生のアイデンティティ発達は,進路への不安と負の相互関連が,資質・能力への省察と正の相互関連がみられることを,発表した。 以上の2つの成果は,教員養成課程という文脈における学生の生き方の形成過程に関してアイデンティティ発達の観点から新しい知見を加え,学術的・実践的に意義のある示唆を提供するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、先行研究のレビューと,質問紙によるデータの収集を行い,国内査読付き雑誌に1報,国際学会のシンポジウムで1報の研究発表を行った。しかし,コロナ禍の影響もあり,当初予定していた,教員養成課程の学生を対象とした対面での面接調査ができなかった。そのため,進捗状況はやや遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度,国際学会のシンポジウムで発表した内容を論文化し,国際査読付き雑誌『Journal of Adolescence』に投稿する。さらに,本年度実施予定であった,教員養成課程の学生を対象とした面接調査を,オンライン形式で実施する。そして,面接データを分析し,結果を発達心理学会で発表する。
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