今後の研究の推進方策 |
次年度は、以下、α-Fe2O3とAl2O3をターゲット材料とした2テーマを設定し、低温・低環境負荷な革新的セラミックスコーティング技術の開発について基礎・応用研究を行う。 1. α-Fe2O3膜の液相原子層堆積法と光電気化学応用 (液相原子層堆積法による高品位α-Fe2O3膜の作製とペロブスカイト型太陽電池への応用) 2. Al2O3膜の液相原子層堆積法と薄膜トランジスタ応用 (非加水分解ゾル-ゲル反応を用いた非水溶液-液相原子層堆積法の開発) 1年目で得られた知見をベースとして液相原子層堆積法をデバイス作製に応用する。α-Fe2O3については有機無機ペロブスカイト太陽電池における電子輸送層に用いる。ITO(電極層)、α-Fe2O3(電子輸送層)、CH3NH3PbI3(ペロブスカイト層)、Spiro-OMeTAD(有機系正孔輸送層)から成るペロブスカイト型太陽電池を作製する。近年、α-Fe2O3がペロブスカイト型太陽電池の既存電子輸送層であるTiO2より優れているという報告がなされている(W. Hu, et al., J Mater Chem A, 5, 1434-1441, 2017., Q. Luo, et al., Adv Funct Mater, 27, 34, 2017.)。ここで開発を目指す液相原子層堆積法は、高結晶性α-Fe2O3をITO上に直接製膜できることから、ペロブスカイト型太陽電池の性能向上に大きく貢献できる可能性を秘めている。他方、Al2O3コーティングについてはITOをゲート電極、Al2O3をゲート絶縁体、In2O3をチャネル層としたボトムゲート型トランジスタを作製し、デバイス性能を評価する。ここでは気相法で作製したAl2O3をゲート絶縁体としたトランジスタとの性能を比較し、液相原子層堆積法の問題点の抽出と解決を通し、デバイスの高性能化について追究する。
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