研究課題/領域番号 |
20J12072
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上田 衛 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | 量子群 / ヤンギアン / 頂点代数 / W代数 |
研究実績の概要 |
本年度はアファインヤンギアンと$W$代数の関連性を研究した。採用者は2つの研究成果を上げた。1つ目は千葉大学の小寺諒介氏との共著論文であり、「Coproduct for affine Yangians and parabolic induction for rectangular $W$-algebras」の論文にまとめられる予定である。この研究では、アファインヤンギアンの余積と長方形$W$代数の余積の可換性が示されている。この結果は、申請者が以前構成したアファインヤンギアンから長方形$W$代数の普遍包絡代数への全射写像の存在の別証明を与えている。 2本目の成果は「Twisted Affine Yangians and Rectangular $W$-algebras of type $D$」という論文にまとめられる予定である。成果としてはツイスト型アファインヤンギアンを定義し、$D$型の長方形$W$代数との間に関係づけを構成した。具体的にはツイスト型アファインヤンギアンを$A$型アファインヤンギアンの余イデアルとして定義し、ツイスト型アファインヤンギアンから$D$型の長方形$W$代数の普遍包絡代数への全射写像を構成した。 また、自分の研究成果を周知するために、2020年度日本数学会秋季分科会アブストラクト集、2020年度日本数学会秋季分科会アブストラクト集、組合せ論的表現論の最近の進展報告集、2020年度表現論シンポジウム予稿集、第17回数学総合若手研究集会報告集の四つの総説を書いた。 さらに、研究集会への参加も積極的に行い、5つの国内研究集会と2つの国際研究集会へ出席した。特に、Rocky Mountain Representation Theory Seminarではアルバータ大学のCreutzig氏やGuay氏と親交を持つことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、小寺諒介氏との共同研究に関して、共著論文「Coproduct for affine Yangians and parabolic induction for rectangular $W$-algebras」を出す目途がたった。この研究の成果であるアファインヤンギアンの余積と長方形$W$代数の余積の可換性は、アファインヤンギアンの表現と長方形W代数の表現の研究をする上で極めて大事になる結果である。また、それ以外にも単著の「Twisted Affine Yangians and Rectangular $W$-algebras of type $D$」を発表する目途も立った。この論文はA型以外のアファインヤンギアンと$W$代数の関係について初めて述べたものになる。しかしながら、ツイスト型アファインヤンギアンの定義は不完全であり、表現論を研究するためにはより良い定義を考えていく必要がある。 研究集会では5つの国内研究集会と2つの国際研究集会で発表を行い、自分の研究成果に興味を持つ人と交流を深めることが出来た。国際研究集会では、アルバータ大学のCreutzig氏やGuay氏と交流を持てた。Creutzig氏は$W$代数を始めとする頂点代数の研究で世界的に有名な研究者である。また、Guay氏はアファインヤンギアンを世界で初めて定義した人物でもあり、アファインヤンギアンに関する世界的な権威である。これらの先生に研究内容を知っていただけたのは非常に有意義であったと考えられる。国内においては、組合せ論的表現論の最近の進展でIPMUの元良直輝氏やアカデミアシニカの佐藤僚氏と、第17回数学総合若手研究集会 ~数学の交叉点~においてIPMUの中塚成徳氏と交流を持つことが出来た。今後はこれらの人脈を生かし、アファインヤンギアンと$W$代数の関連性を研究していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
繰り越し金を用いたため、報告書を書く時点が研究計画の最終年に当たる。
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