研究実績の概要 |
採用までの準備として、予定していた「強相関電子系における開放系としての性質及び非エルミート効果」についての研究を予定通り完遂した。[Y. Michishita(報告者), and R. Peters, Physical Review Letter: 124.196401(2020) ]
今年度投稿した論文[Y. Michishita(報告者), and R. Peters, arXiv:2012.10603(2020)]では、Green関数における非線形応答のフォーマリズムを確認し、電子相関効果として、繰り込みの効果と散逸の構造について解析した。結果、電子の質量の繰り込みの効果を1/Z =m/m_0 (mは繰り込まれた質量、m_0は繰り込まれる前の質量)とすると、n次の非線形応答は、繰り込まれる前の(1/Z)^(n-1)倍に増強される事が分かった。 散逸の構造については、Green関数を記述する有効ハミルトニアンの非エルミートな部分が単位行列で表現できない時(散逸の構造がある時)、系は既存のband-indexによる解析をする事は出来ず、左右の固有状態を別々に考えたnon-Hermitian band-indexによって解析する必要がある事を示した。その解析によれば、特にフェルミ面での輸送について、例外点が生じるような系において大きな役割を果たし、非線形輸送の係数の符号を変化させたり、非線形伝導度を増強したりする事が分かった。
また、実際にCe3Bi4Pd3において非線形ホール伝導度及び非相反伝導度を数値的に計算し、実験結果の説明、及び、同物質において大きな非相反伝導度が期待されることも示した。[A. Kofuji, Y. Michishita(報告者), and R. Peters, arXiv: 2103.03522(2021)]
|