研究課題/領域番号 |
20J12294
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
澤田 杏理 日本医科大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | FROUNT / マクロファージ / 臓器移植 / 慢性抗体関連型拒絶反応 / 急性抗体関連型拒絶反応 / T細胞性拒絶反応 |
研究実績の概要 |
本研究で,ラット同種間腎移植における急性拒絶モデルを用いて,抗FROUNT薬による拒絶抑制効果を検討している.モデルの作成には7週齢オスのLewisラット,Wistarラットをそれぞれ,レシピエント,ドナーとして用いた.同モデルに対し,実験群は①抗FROUNT薬 100mg/day,②抗FROUNT薬 50mg/day, ③vehicleのみ,の3群とし,手術前日から屠殺まで連続経口投与を行った.術後10日後に屠殺し,採血,24時間尿,腎臓組織の採取を行った.現在は採取したデータの評価,解析を行っている. また,慢性抗体関連型拒絶モデルを用いた検討も行った.7週齢オスのLewisラット,Fischer344ラットをそれぞれ,レシピエント,ドナーとして用い,手術では,Fischer344ラットの右腎を摘除し、Lewisラットに同所性に顕微鏡下に移植した.Lewisラットの左腎は腎移植後10日目に摘出し,DSA形成の進展を妨げないために、腎移植後の最初の3週間以内に免疫抑制療法を実施しなかった。移植後3週後から①抗FROUNT薬 100mg/day,②抗FROUNT薬 50mg/day, ③vehicleのみ,の3群に分け,7週間連続経口投与を行った.術後10週で屠殺し,採血,24時間尿,腎臓組織の採取を行う予定としており,現在は定期的な採尿,採血を行い腎機能の評価を継続評価している. また同時に,培養マクロファージを用いたin vitroの実験を行った.培養マクロファージに対し,LPS刺激を行い,抗FROUNT薬の効果を確認した.抗FROUNT薬群ではControl群に比べ,炎症性サイトカインの抑制を認めた.これは,FROUNT阻害によるマクロファージ抑制が拒絶反応の抑制に寄与する可能性を示唆するものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験はコロナウイルス感染拡大の影響から実験時間が減少しており,進捗状況は申請書と比べてやや遅れている.当初の計画では1年目にラットの急性拒絶,慢性拒絶モデルにおける,抗FROUNT薬の効果を明らかになっている予定でしたが,現在はまだ解析中の状態であり,明確な効果を明らかにするまでには至っていない.しかしモデルの作成,投薬実験は進められており,また in vittroの実験系も進めており,進捗状況はやや遅れているものの,確実な進捗に結びついていると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
急性拒絶,慢性拒絶モデルにおける抗FROUNT薬の効果を確認したうえで大動物を用いた実験への移行を検討する.また,小動物での移植モデルにおいて FROUNTの効果を確認する上で,移植免疫の中での FROUNTの効果の機序についても検討する必要がある.FROUNTはマクロファージの遊走の抑制や活性化の抑制などマクロファージに対して作用することが予測され、今年度の実績として,抗FROUNT薬の効果を確認している.in vitroの実験系で骨髄から誘導したマクロファージに対してFROUNT阻害薬の効果の機序を直接確認することが,in vivoでのFROUNTの臓器移植への効果とその機序を検討するためには重要と考えている.小動物のラット,大動物への応用を進めるとともに,その作用機序を直接的に明らかにするために in vitro研究も進める.
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