2021年度はラット同種間腎移植モデルを用いた実験継続に加えミニブタ腎移植モデルを用いた実験を行った。ラット同種間腎移植においては、急性拒絶反応モデル、慢性拒絶反応モデルの双方で尿蛋白の改善、腎生検組織における腎組織障害(糸球体硬化,基底膜の二重化,血管内膜の肥厚)の改善を認めた。このデータをも基に、ミニブタを用いた実験へ移行した。ミニブタのモデルとしてはMHC確立クラウンミニブタMHC完全不適合腎移植を用いた。当モデルでは術後1ヶ月以内に高度の血清クレアチニン上昇あるいは移植腎の慢性移植血管症を伴った拒絶病変を呈する。コントロール群として12日間の持続FK506投与を用いる。この免疫抑制療法のみではMHC完全不適合移植腎は全例術後1ヶ月以内に高度の血清クレアチニン上昇あるいは移植腎が完全拒絶されることが既に確認されている。FK506投与終了後から①抗FROUNT薬100mg/Kg/day,②抗FROUNT薬50mg/Kg/day,③Vehicleをそれぞれ連日で経口投与を行った。連日で採血,採尿を行い,現在は血中クレアチニン,尿蛋白量,DSA発現量についての評価を行っている。また術後18日で腎生検を行い、こちらについての評価も行っている。今後生存日数の評価とともに術後30日、60日、100日以上で腎生検を行う予定である。2020年度の成果と合わせて、FROUNT 阻害によるマクロファージ抑制が拒絶反応の抑制に寄与する可能性を示唆する結果を得ることができている。
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