本研究は、小細胞肺がん(Small cell lung cancer: SCLC)の悪性化に寄与する細胞接着分子CADM1(Cell adhesion molecule 1)の機能解析を目的として行った。研究代表者は免疫組織化学を用いて、CADM1がSCLC症例に高発現し、その発現とリンパ節転移が相関することを明らかにした。また共免疫沈降法を用いて、CADM1が細胞内領域の4.1タンパク質結合モチーフを介して4.1Rと直接結合し、さらに4.1Rの膜局在がCADM1に依存することを明らかにした。またヒトSCLC症例28例を用いて、CADM1と4.1Rの発現と局在を、免疫組織化学により確認したところ、4.1Rの発現は全てのSCLC症例に認められ、4.1Rの細胞膜局在は、CADM1の発現と有意な相関が認められた。さらにCADM1が陽性かつ4.1Rが膜局在を示す症例において、それ以外の症例と比較して有意に病理ステージが高かった。このことから、SCLCではCADM1が4.1Rを細胞膜にリクルートし、CADM1と4.1Rとの複合体がSCLCの悪性化に寄与していることが示された。次に、SCLC モデルマウスとして確立されているRb1/Trp53 double flox マウス(RPマウス)にCadm1 floxマウスを交配したRb1/Trp53/Cadm1 triple floxマウス(RPCマウス)を作製し、Cre発現アデノウイルスを経気道的に肺へ投与してSCLCを発症させ、その病態およびマウスの生存期間について比較を行った。その結果、RPマウスと比較してRPCマウスの生存期間が有意に長く、またRPCマウスにおけるリンパ節転移数が有意に少なかった。これはヒトSCLC症例において得られた知見を支持するものであり、CADM1がSCLCの増殖およびリンパ節転移を促進することが示された。
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