研究課題
沈み込むスラブ深部(410-660 km)で発生する地震を深発地震と呼ぶが、その発生メカニズムに関していまだ不明な点は多い。岩石変形実験や地球物理的観測によって、かんらん石がより高密度なスピネル相に相転移する際に地震が発生するという相転移断層運動モデルが、深発地震の断層の動きはじめを担うと有力視されている。しかしながら、相転移に大きな影響を与える粒径の効果は明らかになっていない。そこで、かんらん石のアナログ物質である細粒なゲルマニウムかんらん石多結晶体(数ミクロン)と粗粒な多結晶体(数百ミクロン)を合成した。多結晶体内の亀裂(断層)発生を検出するためのAEセンサーをつけたGriggs型固体圧変形試験機を用いて変形実験を行った。結果、細粒な多結晶体ではスピネルはオリビンの粒界で主に相転移し、粗粒な多結晶体では粒内で主に相転移していた。細粒な多結晶体と粗粒な多結晶体の両方で亀裂発生が検出されたが、そのタイミングや大きさが異なっていた。この違いが地球物理的観測によって得られるパラメータに影響している可能性がある。現在この結果に関して論文投稿準備中である。相転移断層運動モデルにおいて、変形が局所化するほどの急激な相転移がどのように進むのか、いまだ統一的な見解は存在していない。そこで相転移組織の時間発展を計算できるPhase Field法を用いて、相転移のシミュレーションを行った。塑性ひずみを考慮すると、スピネルへの相転移は急激に進んでいくが、塑性ひずみを考慮しないと相転移の速度が徐々に遅くなることが明らかになった。塑性ひずみがスピネルへの相転移を促進し、変形の局所化につながっている可能性がある。現在この結果は論文としてまとめ、国際誌で査読中である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (1件)
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