有限体上定義された非特異代数曲線Xで、X上の有理点の個数がHasse-Weil上限に到達するものを最大曲線という。最大曲線Xの有理点は、自然に射影空間の中への埋め込みを定め、行先の射影空間の次元はXのFrobenius次元と呼ばれている。Hermitian曲線はFrobenius次元2のただ1つの最大曲線であり、非特異平面曲線のうち最も多くのGalois点をもつ曲線でもあることが知られている。一方、Frobenius次元3をもつ最大曲線のうち、種数最大のものについて、3次元射影空間内での定義方程式、空間内のある点からの射影により得られる射影平面内での曲線の定義方程式が知られていた。 本年はこの種数最大の最大曲線XのGalois直線についての考察を行った。3次元射影空間内の代数曲線Cに対し、空間内の直線L中心の射影がひきおこす関数体の拡大がガロア拡大であるとき、LをCのガロア直線という。3次元射影空間内でのXと超平面との交わりの様子や、Xが2次曲面に含まれることを用いて全てのGalois直線の決定を試みようとしたが難しく、筆者は手を出しあぐねていた。そのような状況の中、令和3年度末に筆者の上記の内容を基礎として、受入研究者の深澤知氏により研究が進展し、深澤氏と筆者の共同研究へと発展した。現在、この共同研究が進んでおり、研究を完成させ論文の形とするまでの見通しが一通り立ったものとすることができている。 他に、城崎代数幾何学シンポジウム2021(2021年10月27日)、第3回宇都宮大学代数幾何研究集会(2022年3月10日)、第26回代数学若手研究会(2022年3月13日)で研究発表を行った。また、深澤知氏(山形大学)、高橋剛氏(新潟大学)との共著論文が1件アクセプトされた。
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