研究課題/領域番号 |
20J12610
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
徳永 佳晃 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | 議会制 / イラン / 1920年代 / 憲法 |
研究実績の概要 |
2020年度においては、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、海外における調査・研究活動及び学会発表が難しくなったことから、交付申請書に記載した研究実施計画から様々な変更を余儀なくされた。しかしながら、その代替策として来年度予定していた国内学会での研究発表や学術誌への論文掲載に注力し、着実に成果を挙げた。 当初の計画では、イギリスでの学会発表及び同国での史料調査、並びにイランでの史料調査が予定されていたが、イギリスにおける学会は2021年度の7月まで延期され、文書館における調査も事実上不可能となった。またイランにおいても、教育機関及び研究機関における休業等の措置が断続的に続き、図書館及び文書館における調査は、現在に至るまで困難な状態が続いている。以上の事情から、当初の計画に盛り込まれていた海外における活動の全面中止は、やむを得ない状態であった。 このような海外調査の代わりとして、本年度は、国内での史料収集やそれら史料の講読を進めた。これらの整理や分析、及び研究成果をまとめるにあたっては、本研究費のなかで次年度から前倒しで購入した、パソコン並びに各種の文書作成及び表計算ソフトを用いた。上記の内容については、日本オリエント学会第62回大会、2020年度九州史学会大会、その他非公開の研究会で報告している。学会及び研究会の発表に加え、査読論文についても『イスラム世界』誌に論文が掲載されるなど、具体的な成果をあげた。以上で述べたように、研究計画の変更はあったものの、研究活動自体は順調に進展したと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度においては、選挙、議会の財政権、憲法改正といった議会制を考察する際に重要な論点に関して、個々に分析を行い、それらの研究成果を論文及び学会発表を通じて発信した。以上の成果は、パフラヴィー朝成立期の議会を考察するにあたり不可欠の要素である。これらの研究を発展させることで、「研究の目的」で掲げた同朝支配体制が構築される過程の解明が実現できる。
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今後の研究の推進方策 |
世界各地における新型コロナウイルスの感染については現在もなお予断を許さない状況であり、史料調査を目的とした海外渡航は、未だ非現実的である。そこで2021年度上半期においては、前年度の活動を継続、発展させることが基本的な方針となる。具体的には、前項で言及した英語論文のほか、2020年度に国内学会及び研究会で発表した内容を論文化する作業を重点的に取り組む。また、(2)で言及したイギリス中東学会が7月に開催されるため、そこでの研究発表を行う。同年度下半期においては、調査該当地域の新型コロナウイルス感染状況、及び上半期の研究活動の進捗などを考慮に入れつつ、2020年度に実現しなかったイギリス及びイランにおける史料調査の実施を検討する。
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