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2021 年度 実績報告書

セルロースナノファイバーの結晶性操作による高性能化

研究課題

研究課題/領域番号 20J12793
研究機関東京大学

研究代表者

大長 一帆  東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2022-03-31
キーワードセルロースナノファイバー / 結晶性 / XRD / NMR / セルロース科学
研究実績の概要

セルロースナノファイバー(CNF)とは、樹木の細胞壁を「ミクロフィブリル単位」または「微細なミクロフィブリル束」にまで解きほぐした新素材である。CNFは、結晶性であり、鋼鉄の1/5の軽さで5倍強く、ガラス並みに熱膨張せず、絶縁性であり、比誘電率も高いなど、優れた特性を併せもっている。
CNFは水分散体として通常得られ、化粧品や食品の添加材として一部実用化されている。その他、乾燥を制御することで電子デバイス基材や高機能包材として活用できる「透明な紙」や、住環境や自動車の窓にも適用できる「透明な断熱材」といった付加価値の高いCNF会合体を形成することができる。
近年はCNFの量産体制が整い、学術分野においてもCNF関連の論文数が飛躍的に増加している。しかしながら、CNFの実用化は極めて限定的であり、期待していたCNF特性が発現しないなどといった本質的な課題が浮き彫りとなっている。このような背景には、CNF構造の理解が著しく遅れていることが挙げられる。そこで本研究では、CNF固有の機能・性能に係わる「結晶性」に着目し、CNF構造の精密解析を進めた。
CNFの分散・会合と結晶性との相関を解析したところ、1)細胞壁の解きほぐしが進み、CNFの分散性が高まると、結晶性が低下する、2)分散したCNFを再度会合させると、分散により低下した結晶性が回復する、3)会合により結晶性が回復すると、物性も向上する、ということが明らかになった。すなわち、CNFの結晶性はCNF間の界面構造が支配しており、分散・会合により物性を制御できると言える。これまで、CNFの結晶性を操作した例はなく、一度低下した結晶性は不可逆であるというのがこれまでの理解であった。CNFの分散と会合はCNF生産プロセスに必ず組み込まれる。したがって、本研究で見出した新規な現象は、CNFの実用化を推進する基盤技術の構築に貢献すると考える。

現在までの達成度 (段落)

令和3年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和3年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Recovery of the Irreversible Crystallinity of Nanocellulose by Crystallite Fusion: A Strategy for Achieving Efficient Energy Transfers in Sustainable Biopolymer Skeletons**2021

    • 著者名/発表者名
      Daicho Kazuho、Kobayashi Kayoko、Fujisawa Shuji、Saito Tsuguyuki
    • 雑誌名

      Angewandte Chemie International Edition

      巻: 60 ページ: 24630~24636

    • DOI

      10.1002/anie.202110032

  • [学会発表] Assembly-induced recovery of the crystallinity of cellulose nanofibers2022

    • 著者名/発表者名
      Tsuguyuki Saito, Kazuho Daicho
    • 学会等名
      ACS Spring 2022, Anselme Payen Award Symposium
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] コットンミクロフィブリルの構造解析2022

    • 著者名/発表者名
      大長 一帆, 藤澤 秀次, 齋藤 継之
    • 学会等名
      第72回日本木材学会大会
  • [学会発表] Crystallite Fusion in Nanocellulose Aggregates2021

    • 著者名/発表者名
      Kazuho Daicho, Kayoko Kobayashi, Shuji Fujisawa, Tsuguyuki Saito
    • 学会等名
      7th International Polysaccharide Conference
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Studies on the Crystallinity of Cellulose Nanofibers2021

    • 著者名/発表者名
      Kazuho Daicho
    • 学会等名
      The 262nd ACS National Meeting
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 会合が誘発するナノセルロースの結晶子融合2021

    • 著者名/発表者名
      大長一帆, 小林 加代子, 藤澤秀次, 齋藤継之
    • 学会等名
      第 88 回紙パルプ研究発表会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] セルロースナノファイバーの結晶性に関する研究2021

    • 著者名/発表者名
      大長一帆
    • 学会等名
      ,東京大学大学院農学生命科学研究科、修士課程科目「セルロース科学特論Ⅰ」特別講義
    • 招待講演
  • [図書] セルロースナノファイバー 研究と実用化の最前線2021

    • 著者名/発表者名
      矢野 浩之、磯貝 明、北川 和男
    • 総ページ数
      896
    • 出版者
      エヌ・ティー・エス
    • ISBN
      9784860437510

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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