研究課題/領域番号 |
20J12891
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山内 悠 東北大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | 索状ロボット / ヘビ型ロボット / レスキューロボット / アクチュエータ / 流体噴射 |
研究実績の概要 |
本当該年度は災害時の捜索活動の効率化のための柔軟ヘビ型ロボットの自律捜索の実現を目指し,柔軟ヘビ型ロボットのモデル化,2次元平面上での制御手法の提案を行った.また,火災現場での捜索に着目し,消火を行いながら捜索可能な水噴射ノズルユニットの開発も行った.以下,各項目について詳細を記述する. 柔軟ヘビ型ロボットを用いた実験コストの高さを考慮して,数値シミュレーションによる制御手法の構築を目指し,柔軟ヘビ型ロボットのモデル化を行った. 各リンクに外力を加えられる2次元の剛体多体リンクモデルを用いて,先端に搭載された空気噴射ノズルが発生する反力や,ロボットの根本をハンドリングする自動挿入機が及ぼす力を表現可能なモデルを構築した. 災害時の捜索活動において得られた情報から任意の位置を捜索することが望ましい.そのため,ある目標位置を与えられたときにロボット先端位置を目標位置へ移動させる制御手法の初期検討を行った.先端に発生するベクトルの大きさを一定にし,その方向を目標位置に向けることで目標位置へ移動させる手法を構築した.この手法を用いた基礎実験では,初期位置から設定した3つの目標位置すべてに到達することが確認できた. 火災現場での捜索活動を目的とした水噴射ノズルユニットの開発を行った.柔軟ヘビ型ロボットは形状変化等でねじれると,ノズルユニットの姿勢が変わり,浮上できなくなる.そこで,胴体とノズルユニットを受動ジョイントで接続し,ノズルを2つ搭載することでトルクを発生させることで,この課題の解決を目指す.2つのノズルを内向き方向に噴射して合力を実現することで,合力の方向をユニットが自動的に追尾する.これにより,形状変形の影響を受けない.このノズルユニットをモデル化し,理論的に合力の方向に姿勢が自動的に追尾することを示した.また,実機実験においても,同様に姿勢が自動的に追尾することを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本当該年度は,自律捜索の実現に向けた基礎研究に取り組んだ.モデル化と制御手法においては,シミュレーションと実機実験の結果の傾向が一致することを確認できている.また,水噴射ノズルモジュールにおいても,理論的に示した傾向を実機実験においても示すことができている.制御手法の3次元化,開発した水噴射ノズルユニットを柔軟ヘビ型ロボットに搭載した際の結果については本年度に行うことができなかったが,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,引き続き本年度行った研究の評価を行いつつ,自律捜索の実現に向けた基礎研究を進める予定である. 水噴射ノズルユニットについては,柔軟ヘビ型ロボットへ搭載することで,胴体の形状変形に影響を受けないことを確認する.搭載するためには,現状のノズルユニットでは浮上に必要な反力が不足しているため,反力を増やすためにノズルの個数を増やす必要がある. 制御手法においては,環境の影響を考え,胴体を任意の形状制御に制御することが望ましい.現状の手法は胴体の形状を考慮できていないため,形状制御の検討を行う必要がある.大きな課題は,自由度が少ない点であり,柔軟体の特徴を生かすなど工夫が必要である.
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