研究課題/領域番号 |
20J13042
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
乳原 彩香 同志社大学, 心理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | 不眠症 / 回避行動 / 認知行動療法 |
研究実績の概要 |
まず,2020年度の研究活動の準備段階として,睡眠に関する回避行動の測定尺度を作成する必要があった。睡眠に関する回避行動を測定する尺度の整備は2019年度に実施し,研究成果を2020年度に行動医学研究に投稿し,受理された。 次に,本年度はインターネット調査会社を通じて,不眠症状の改善における媒介要因が不眠症状に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,データを取得した。30-69歳の対象者を不眠障害患者,不眠症状のある者,不眠症状のない者の3群に分類し,乳原・石川 (2020) によって示された不眠症状の改善に媒介する要因として,非機能的信念,安全確保行動,身体的・認知的過覚醒が不眠症状に及ぼす影響を検討した。階層的重回帰の結果,不眠障害患者においては非機能的信念が,不眠症状のある者では回避行動が,そして不眠症状のない者では非機能的信念と認知的過覚醒が不眠症状に影響を及ぼしていることが明らかになった。本研究結果から,睡眠に関する回避行動に対する介入は,不眠障害の診断を受けていないが不眠症状が存在している者に対して行うことが有効である可能性が示された。 最後に,2021年度 (今年度) に実施する予定である介入研究の刺激の作成を進めた。2020年度には,Nicole & Schmidt (2020) と日本語版の介入内容が同等であることを担保するために,第一著者に翻訳の許可を得た上で業者にダブルバックトランスレーションを依頼した。その後,第一著者とのディスカッションにより訳語の確認を行い,日本語版のFalse Safety Aid Elimination Therapy for Sleepの翻訳を完成させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はインターネット調査によって,不眠症状の改善における媒介要因が不眠症状に及ぼす影響について検討する研究を実施した。本年度の結果によって,次年度の介入研究での対象群が明らかになった。そして,次年度の介入実施に向けてアメリカで使用されているFalse Safety Aid Elimination Therapy for Sleep (FSET for Sleep) についての準備も着実に進めており,次年度に介入研究を開始できる体制を順調に進めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では,昨年度の研究結果を踏まえて不眠障害の診断を受けていないものの不眠症状が存在している者を対象として睡眠の回避行動に対する介入研究を実施する。現在,引き続き介入刺激の準備段階であり,夏頃に介入を実施する予定である。また,新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け,オンライン形式によって介入を提供することを予定している。
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