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2020 年度 実績報告書

ホラーティウス『カルミナ』における諸機会詩の継承とその抒情詩的発展に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20J13045
研究機関東京大学

研究代表者

岡野 航星  東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2022-03-31
キーワード抒情詩 / 翻案 / ラテン文学
研究実績の概要

当該年度は、主にホラーティウス『カルミナ』における諸機会詩の継承に関する研究として、古典ギリシアの韻文の祝勝歌や死者への儀礼的な歌を取り上げ、『カルミナ』との比較考察を行った。その内容としては、特に以下の二点に関して調査、考察を進めた。
1)ギリシア抒情詩における様々な機会詩の種類とその定義に関する学説の調査と考察。例えば、上記に挙げた死者への儀礼的な歌は Alexiou,M.(1974), The Ritual lament in Greek Tradition (Cambridge).で取り上げられているように 1モチーフとして、古代で確立していたと考える研究者もいるが、反対意見も見られる。そのため、機会詩について取り上げる本研究でも先行研究の学説に関して調査し、可能な限り自ら考察する必要があり、本年度は、当該分野の研究書籍、論文等の収集を進め、必要な調査を進めた。
2)現在も校正作業の途中であるが、初期ローマ文学についての一英語論文の翻訳を行った。その翻訳作業を通し、近年の Bettini,M.(2012), Vertere: Un'antropologia della traduzione nella cultura antica (Torino).などの研究書で取り上げられている、初期ローマ文化における「翻訳」概念に関する種々議論について知見を深めた。『カルミナ』における古典ギリシア文学の受容が問題とされる本研究においても、ホラーティウスの「翻訳」「翻案」に対する態度を(その初期ローマ文学との時代による差異も含めて)検討することは重要であると考える。主にイタリア語圏で盛んな当該研究に関して、必要な文献の収集、調査を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルス感染症流行に伴い所属研究機関へのアクセスが限られ、またそうした状況下、自宅での研究環境整備の必要などの困難が生じた。結果として当初当該年度の研究計画として考えていた論文等を完成、発表するに至らなかった。加えて、移動制限により海外渡航なども不可能となり、計画していた写本閲覧等も実現できなかった、しかしながら、研究上必要な書籍の入手とその読解に努め、研究課題を考える上で進展はあったと考える。特に古代ローマの「翻訳」概念を扱った専門書の読解は当初予定していなかったが、それらを通じ、本研究の個々の成果を次年度以降まとめる上で重要な観点を得たと考える。全体として、論文執筆等は研究計画から遅れが出てしまったが、研究の内容自体には進展があり、深刻な遅れではないと評価する。

今後の研究の推進方策

次年度は当該年度に行った調査と考察の結果として、『カルミナ』における諸機会詩の個別研究を口頭発表、論文の形で報告することを第一の課題とする。その後、博士論文執筆を視野に入れつつ、個別研究の成果を踏まえた統合的視野を持つ論考の執筆を目指す。また、情勢が許せば、フランス、イタリアなどに趣き、当初予定していた写本の閲覧や本邦では入手、閲覧が困難な専門書、論文の調査を行う。

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公開日: 2021-12-27  

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