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2020 年度 実績報告書

モジュール型ポリケチド合成酵素の全体構造とドメイン間相互作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20J13080
研究機関東京工業大学

研究代表者

千菅 太一  東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2022-03-31
キーワード天然物生合成 / ポリケチド合成酵素 / タンパク質間相互作用 / クロスリンク / 結晶構造解析 / 単粒子解析
研究実績の概要

本研究は、modular型ポリケチド合成酵素 (modular PKS) のモジュール全体構造の解明とその触媒ドメイン-アシルキャリアータンパク質 (ACP) ドメイン間の相互作用の解明を目的とする。
本年度は”触媒ドメイン-ACPドメイン間の相互作用解明”に注力して研究を推進した。modular PKSの触媒ドメインには還元反応や脱水反応を触媒する様々なドメインが存在するが、その中でも縮合反応を触媒するケトシンターゼ (KS) ドメインは上流moduleおよび下流moduleのACPドメインと相互作用することでポリケチド生合成を制御する重要なドメインである。しかし、その相互作用の詳細は未解明である。そこでKSドメイン-ACPドメイン間の相互作用解明に向けて研究を推進した。
まずKSドメインのACPドメインに対する選択性に関してin vitroでの解析を進めた。いくつかのACPドメインを対象に、ACPドメインからKSドメインへのアシル基受渡し反応の進行度を定量化するという方法で分析を行なった。その結果、KSドメインの上流module ACPドメインからのみ、すみやかな受渡し反応を検出することができ、KSドメインが上流module ACPドメインに強い選択性を有することを示すことができた。
KSドメインと上流module ACPドメイン間の相互作用の詳細を解明すべく、クロスリンク法を用いたKSドメイン-ACPドメイン安定複合体の調製検討を行なった。種々パンテテインプローブを用いたクロスリンク反応条件検討、およびクロスリンク複合体の精製検討を経て、KSドメイン-ACPドメイン安定複合体を高純度で得ることができた。現在、安定複合体の構造情報を得るため、結晶構造解析および単粒子解析の検討を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はmodular PKSの触媒ドメイン-ACPドメイン間の相互作用解明、特にKSドメインとACPドメインとの相互作用解析に注力して研究を推進した。in vitroでの解析によりKSドメインはその上流module ACPドメインとの間に強い選択性を有することを明らかにすることができた。その選択性の詳細解明に向け、KSドメイン-ACPドメイン安定複合体の構造解析についての検討も進めることができ、クロスリンク法による安定複合体の調製およびその結晶構造解析・単粒子解析の検討にまで至っている。
研究計画において本年度は、触媒ドメイン-ACPドメインのクロスリンク複合体の調製およびその精製検討・結晶化検討の遂行を予定していた。上述のように、KSドメイン-ACPドメインクロスリンク安定複合体を調製、かつその結晶化検討にまで至っており、さらに来年度に計画されていたクライオ電子顕微鏡での単粒子解析検討も進めることができた。そのため、おおむね順調に研究が進行したと判断している。

今後の研究の推進方策

来年度も引き続きmodular PKSのKSドメイン-ACPドメインクロスリンク安定複合体の構造解析を進め、変異体解析などの多角的な分析からもそのドメイン間相互作用をアミノ酸レベルで詳細に明らかとする。また、modular PKSにはポリケチド鎖伸長基質をロードするアシルトランスフェラーゼドメイン、伸長過程における脱水反応を触媒するデヒドラターゼドメインといったようにKSドメイン以外にもACPドメインが相互作用する様々な触媒ドメインが存在し、来年度はこれらKSドメイン以外の触媒ドメイン-ACPドメイン間相互作用も解明すべく、精力的に研究を推進する所存である。

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公開日: 2021-12-27  

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