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2020 年度 実績報告書

光合成細菌とイオウ不均化細菌の共代謝による新規イオウ酸化機構

研究課題

研究課題/領域番号 20J13082
研究機関国立研究開発法人海洋研究開発機構

研究代表者

河合 繁  国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2022-03-31
キーワードエネルギー代謝 / イオウ代謝 / 光合成 / 温泉 / 微生物マット
研究実績の概要

イオウ不均化菌は、単体イオウやチオ硫酸イオンなどのイオウ化合物を酸化・還元することでエネルギーを取り出す生物の総称である。イオウ不均化菌は生物学的イオウ循環に重要な役割を持つと考えられており、イオウ温泉に発達する細菌群集では~10%程度分布している。本研究では温泉細菌群集の主構成種である好熱性光合成細菌とイオウ不均化菌のイオウ代謝様式を明らかにするとともに、未だわかっていない生物学的イオウ不均化反応の分子機構の解明を目的としている。今年度は、イオウ不均化候補遺伝子の大腸菌を用いた異種発現系の構築や、環境中での光合成細菌とイオウ不均化菌の関係を明らかにするために研究を行った。
温泉に分布するイオウ不均化細菌Caldimicrobium thiodismutansのゲノムからイオウ不均化候補遺伝子をクローニングしたプラスミドを作成し、大腸菌に導入した。その大腸菌をイオウ不均化条件で培養し、イオウ不均化反応に伴う硫化水素の濃度変化を測定した。その結果、顕著な硫化水素濃度の上昇は見られなかった。現在は培養方法の検討や他遺伝子の追加導入及び宿主を変えた方策を検討している。
温泉細菌群集における好熱性光合成細菌とイオウ不均化菌の関係解明のために、温泉細菌群集の昼夜における網羅的転写解析を行い、光合成細菌とイオウ不均化菌の代謝動態を調べた。その結果、好熱性光合成細菌とイオウ不均化菌のイオウ代謝関連酵素が日中に発現が高いことが明らかになった。現在はイオウ代謝以外のエネルギー代謝動態も調べることで、各種細菌の代謝様式と日周の関係を明らかにしようとしている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は新型コロナウイルスによるテレワークの推奨により、微生物実験の時間は取れなかった。一方で、早めの方針転換により生物情報学的解析を取り入れた研究を推進できた。網羅的な代謝動態を先に把握できたことで今後の研究において様々な示唆を得られた。

今後の研究の推進方策

イオウ不均化遺伝子セットの同定では、イオウ不均化候補遺伝子を導入した大腸菌を用いた結果、イオウ不均化活性を検出できなかった。この原因は、イオウ不均化に必須の遺伝子の不足、または導入遺伝子の毒性の影響が考えられた。これらの問題を解決するために、ゲノムDNAライブラリを利用した分子生物学的方法やイオウ代謝が得意な光合成細菌を利用した研究を推進し、イオウ不均化遺伝子セットの同定とその分子機構の解明を目指す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] In-Situ Metatranscriptomic Analyses Reveal the Metabolic Flexibility of the Thermophilic Anoxygenic Photosynthetic Bacterium Chloroflexus aggregans in a Hot Spring Cyanobacteria-Dominated Microbial Mat2021

    • 著者名/発表者名
      Shigeru Kawai, Joval N. Martinez, Mads Lichtenberg, Erik Trampe, Michael Kühl, Marcus Tank, Shin Haruta, Arisa Nishihara, Satoshi Hanada, and Vera Thiel
    • 雑誌名

      Microorganisms

      巻: 9 ページ: 652~652

    • DOI

      10.3390/microorganisms9030652

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2021-12-27  

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