研究課題
光反応性基であるジアジリンとヨウ素をmetaあるいはpara置換した2系統の光反応性UQ類を合成した。para体とmeta体を比較するとpara体のほうが約1Å程嵩高い。亜ミトコンドリア粒子(SMPs)を用いて複合体-Iにおける電子伝達活性を評価したところ、2系統のpUQ類は同程度の活性を示した。しかし、単離複合体-Iにおける電子受容活性を評価すると、meta体に対してpara体の活性が顕著に低下することがわかった。これは単離複合体-Iにおいてのみ、わずかな立体障害の差異を大きく反映していることを示していると考えられる。その後、ヨウ素を放射性同位体125Iに置換して光親和性標識実験を行ったところ、複合体-Iのキノン反応ポケットを構成するサブユニットの1つであるND1が特異的に標識されることがわかった。SMPs中の“ネイティブ”複合体-Iと単離複合体-Iのそれぞれにおいて、標識されたND1を分離して消化酵素切断に供したところ、両者の間で結合部位にわずかな違いがあることがわかった。これらの結果は、“ネイティブ”複合体-Iと単離複合体-Iの間にはキノン反応ポケットの構造に差異があることを示唆している。さらに、“ネイティブ”複合体-IにおいてND1サブユニットにおける結合部位を比較すると、大きく異っていることがわかった。さらに、キノン反応ポケット近傍に結合する複数の阻害剤を用いて光反応性キノンとの拮抗試験を行ったところ、光反応性キノンの側鎖構造を反映してそれぞれ異なる拮抗パターンを示すことがわかった。これらの結果は、光反応性キノンは側鎖構造に依存して異なる侵入経路を経て電子を受容することを示唆している。以上の得られた結果は、現在論文としてまとめ投稿中である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Bioenergetics
巻: 1863 ページ: 148547~148547
10.1016/j.bbabio.2022.148547