研究課題
接ぎ木成立過程で高蓄積する二次代謝物(以下、二次代謝物)およびその生合成のマスターレギュレーターであるMYB転写因子の接ぎ木における機能解析を行った。これまで、このMYB転写因子の発現は接ぎ木部で増加することが確認され、MYB転写因子の遺伝子発現抑制体(以下、発現抑制体)の接ぎ木試験を行った結果、Wild typeと比較して、接ぎ木後の穂木の葉の展開に差が見られ、MYB転写因子が二次代謝物の生合成を介して、接ぎ木の成立に関与することが示唆されている。今年度は、このMYB転写因子が二次代謝物の生合成を制御しているかを確かめるために、発現抑制体の接ぎ木部のメタボローム解析を実施した。さらに、このMYB転写因子が接ぎ木成立過程のどのイベントに関与するかを解明するために、接ぎ木部のRNA-seq解析を実施した。接ぎ木部のメタボローム解析の結果、発現抑制体ではWild typeと比較して、二次代謝物が減少していた。さらに、接ぎ木部のRNA-seq解析を行い、接ぎ木3日後のWild typeと発現抑制体の間での発現変動遺伝子(DEG)を用いて、GOエンリッチメント解析を行った結果、「Cell wall」のGO termが有意にエンリッチされた。Wil typeと比較して発現抑制体では、ペクチンメチルエステラーゼやポリガラクツロナーゼインヒビタータンパク質の遺伝子発現が減少していた。これは、MYB転写因子が二次代謝物の生合成を介して、細胞壁の物理的な強度を制御し、接ぎ木の成立に関与することを示唆している。これらの接ぎ木に関与する因子の発見と分子メカニズムの理解は、接ぎ木促進剤の開発に貢献できる可能性がある。また、本年度に報告した、ゲノム編集により作出した高糖度トマトと、広範の種類の台木との接ぎ木を高効率で実現することで、生物的・非生物的ストレス耐性などを導入できる可能性もある。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
巻: 11 ページ: ー
10.1038/s41598-021-00966-4
https://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20211109_agr.pdf
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC098PE0Z01C21A1000000/
https://www.yomiuri.co.jp/science/20211110-OYT1T50055/
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/21/11/12/08825/?n_cid=nbpbto_mled_am
https://nordot.app/840834732835012608?c=39546741839462401