研究課題/領域番号 |
20J13831
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐野 洋輔 早稲田大学, 人間科学学術院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | ボルネオ / 沈香資源 / 選択的伐倒 / 外部者 / インフォーマルな資源開発 |
研究実績の概要 |
今年度は、①地域住民の香木採集実践についての論文執筆、②外来香木採集者の地理的展開についての文献調査とデータ分析、③博士論文提出に向けてこれまでの研究内容の整理を行った。 第一に、地域住民(インドネシア北カリマンタン州のプナン社会)の香木採集実践について、論文を執筆した。この研究は、地域住民が実践するジンコウ樹の選択的伐倒について、この選択的伐倒がどのように、何を意図して実践されているのかを明らかにするものである。今年度は、過年度に実施したデータ分析と文献整理に基づいて投稿論文の執筆作業を行い、論文を提出することができた。 第二に、外来香木採集者の地理的展開について、文献調査とデータ分析を行った。この研究は、香木の非原産地を拠点とする外来香木採集者が、どのようにボルネオ島全域へと採集活動を展開してきたのかをインフォーマルな資源開発として明らかにするものである。今年度はインドネシアでの現地調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の流行のために現地調査を来年度以降へ延期した。そのため、過年度までに収集したデータで論文1本をまとめるために、国内で文献調査を行い、また、データを再分析した。調査した一部文献については書評を寄稿した。来年度中に、分析結果をまとめて論文を学術誌へ投稿する予定である。 第三に、以上を含むこれまでの研究を博士論文としてまとめるために、これまでの研究内容の整理を進めた。博士論文の構想について、北大・地域研究フォーラムで「ボルネオ島の商業狩猟採集基盤型社会の資源利用と世帯生計維持」という題目で発表し、関連分野の研究者と意見を交わした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により、今年度予定していたインドネシアでの現地調査が実施できなかったため。過年度に収集したデータから論文を執筆・投稿することができ、また、集中的な文献レビューから外来香木採集者の地理的展開を分析する新たな枠組みを構築することができた点では進捗はあった。しかし、現地調査なしでは詳しく分析するためのデータがどうしても不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、過年度に収集したデータから外来香木採集者のボルネオ島内陸部への展開を、インフォーマルな資源開発という視点で論文としてまとめて投稿する。また、インドネシアの新型コロナウイルスの感染が落ち着いたタイミングを見計らって現地調査を実施し、外来採集者の展開と原産地社会の対応の連関をより実証的に描くためのデータを収集して分析する。
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