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2020 年度 実績報告書

細胞競合の普遍的メカニズムとその生理的意義の遺伝学的解明

研究課題

研究課題/領域番号 20J13935
研究機関京都大学

研究代表者

永田 理奈  京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2022-03-31
キーワード細胞競合 / 細胞死 / オートファジー / Hippo / TOR / bantam
研究実績の概要

生体内で隣り合う2つの細胞間にわずかな性質の差が生じた際、細胞間相互作用を介して一方の細胞に細胞死が誘導される現象が存在する。この現象は「細胞競合」と呼ばれ、組織に残る細胞を「勝者」、排除される細胞を「敗者」と呼ぶ。細胞競合は組織の恒常性維持やがんの制御に重要な役割を果たすと考えられているが、その分子メカニズムはほとんど不明であった。研究代表者は、これまでにショウジョウバエを用いた遺伝学的解析を通じて、勝者細胞に近接する敗者細胞はオートファジー依存的な細胞死によって排除されることを見出していた。しかしながら、勝者-敗者境界面で活性上昇するオートファジーがどのようにして誘導されるかといったメカニズムはわかっていなかった。当該年度ではこれを明らかにするために、がん抑制経路であるHippo経路変異細胞が周りの正常細胞にオートファジー依存的な細胞死を誘導して排除するモデル系を用いて遺伝学的解析を行った。その結果、Hippo経路変異細胞ではmiRNA bantamを介してTORシグナルが活性化しており、これが周りの正常細胞のオートファジー誘導に必要であることがわかった。また、TORシグナルを阻害することで、Hippo経路変異細胞内のタンパク質合成の上昇も抑制されたことから、勝者細胞に近接する敗者細胞で活性上昇するオートファジーは勝者-敗者細胞間のタンパク質合成能の差によって引き起こされることが示唆された。重要なことに、この正常細胞のオートファジー依存的な細胞死が、Hippo変異細胞の腫瘍形成を促進することもわかった。今後、このオートファジー誘導機構を解明していくことで細胞競合の全貌が明らかになり、細胞間コミュニケーションの新たなコンセプトが確立されるとともに、これを人為的に制御することで新たながん治療に貢献できる可能性がある。

現在までの達成度 (段落)

翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。

今後の研究の推進方策

翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] 香港科技大学(香港)

    • 国名
      香港
    • 外国機関名
      香港科技大学
  • [雑誌論文] Hyperinsulinemia drives epithelial tumorigenesis by abrogating cell competition2020

    • 著者名/発表者名
      Sanaki Y, Nagata R, Kizawa D, Leopold P, Igaki T.
    • 雑誌名

      Developmental Cell

      巻: 53 ページ: 379-389

    • DOI

      10.1016/j.devcel.2020.04.008

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 細胞競合の制御機構―ショウジョウバエからみえてきた共通メカニズム2020

    • 著者名/発表者名
      永田理奈、井垣達吏
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 274 ページ: 406-412

  • [雑誌論文] メカニカルな力を介した上皮からの細胞排除2020

    • 著者名/発表者名
      永田理奈、井垣達吏
    • 雑誌名

      実験医学増刊

      巻: 38 ページ: 126-131

  • [学会発表] 細胞競合を駆動する細胞非自律的な細胞死誘導機構2020

    • 著者名/発表者名
      永田理奈
    • 学会等名
      第1回 細胞死コロキアム
  • [学会発表] 細胞競合を駆動する細胞非自律的オートファジー誘導機構の遺伝学的解析2020

    • 著者名/発表者名
      永田理奈, 中村麻衣, Lina Zhang, Mingxi Deng, Ying Wang, Yan Yan, 井垣達吏
    • 学会等名
      第72回 日本細胞生物学会
  • [学会発表] Yorkie drives tumorigenesis by non-autonomous induction of autophagy-mediated cell death2020

    • 著者名/発表者名
      Nagata R, Nanami Akai, Shu Kondo, Kuniaki Saito, Shizue Ohsawa, Igaki T
    • 学会等名
      62nd Annual Drosophila Research Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Cell competition regulates tissue growth and tumorigenesis via non-autonomous induction of autophagy2020

    • 著者名/発表者名
      Rina Nagata, Nanami Akai, Shizue Ohsawa, Tatsushi Igaki
    • 学会等名
      第43回 日本分子生物学会年会

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公開日: 2021-12-27  

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