研究課題
テラヘルツ時間領域分光法を用いて、太陽電池材料およびそのデバイス構造におけるキャリア伝導の評価を実施した。まず、磁気光学カー効果の実験においては、GaAs太陽電池に加えてp型およびn型にドープされたエピタキシャル薄膜の測定も実施した。さらに、本手法の精度を確かめるため、サイクロトロンシフトを考慮したDrudeモデルよりキャリア伝導の数値計算も実施した。その結果、p型エピタキシャル薄膜の磁気光学信号はmradと非常に小さい一方で、デバイス構造にするとテラヘルツ電磁波の電場分布がp層で最大となり、磁気光学信号を増大させることを明らかにした。また、数値計算との比較から、従来は困難であったp層のキャリア伝導の評価において、本手法が優れていることを見出した。さらに、太陽電池材料として注目を集めている鉛ペロブスカイト結晶のテラヘルツ領域における時間分解分光を実施した。特に、キャリアとしての電子の特性を評価するため、電子と格子の結合状態であるポーラロンの振舞い方に焦点を当て調査した。その結果、鉛ペロブスカイトの構成分子あるいは原子による応答の違いと共通点を見出し、特徴的なキャリア応答を理解するための処方箋を与えた。これは、鉛以外の元素を含むペロブスカイト系や、さらに構成原子の数を増やしたものが精力的に研究されている中、一つの方向性を与える結果である。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Journal of Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves
巻: 42 ページ: 325-337
10.1007/s10762-021-00779-6