研究課題/領域番号 |
20J13979
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
江藤 太亮 九州大学, 統合新領域学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | 概日リズム / 照明 / 子ども / 光 / 非視覚的作用 / メラトニン / 水晶体 / 瞳孔 |
研究実績の概要 |
本実験実施に先立ち、概日リズム位相を事前に推定する方法の検討を行った。光曝露が概日リズム位相に与える影響を子どもと大人で正確に比較するためには、光曝露のタイミングを厳密にコントロールする必要がある。光曝露のタイミングを決定する際に重要になるのが概日リズム位相であり、その指標としてメラトニンの分泌開始時刻(DLMO)が用いられる。当初は各被験者の自宅で事前に測定する予定であったが、被験者負担を考慮し、簡便に取得可能なクロノタイプ(朝型/夜型)質問紙よりDLMOを推定することとした。 クロノタイプ質問紙からDLMOが推定可能かどうかを検証するために、過去の研究において取得済みのデータを用いて解析を実施した。その結果、質問紙から得られたクロノタイプの指標がDLMOと有意な相関関係にあることが分かり、さらにクロノタイプの指標が高い決定係数でDLMOを説明することや回帰直線が子どもと大人で異なることが明らかになった。そのため、光を曝露するタイミングを決定するためにDLMOを推定する際には、子どもと大人の被験者で回帰直線を変更することとし、本実験を実施した。 本実験は、子どもの被験者15名、大人の被験者15名を目標人数として開始した。当初は夜の光曝露による概日リズム位相の後退量を比較することを予定していたが、子どもの概日リズムを実験的に後退させることへの健康面の不安や、実験プロトコールが2泊3日と長期化してしまう心身的負担を考慮し、朝の光曝露による概日リズム位相の前進量を比較するプロトコールに変更した。目標人数の半数における実験の実施が完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者負担を考慮し実験計画の変更を行ったが、これに伴う転換がスムーズに行われ、目標人数の半数ではあるが実験の実施を行うことができた。また、実験計画変更に伴って実施した解析によって、クロノタイプ質問紙によるDLMOの推定がある程度可能という新たな知見が見出された。
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今後の研究の推進方策 |
今後も同様の実験プロトコールを繰り返し、被験者数を目標人数まで増やす予定である。唾液サンプルからのメラトニン濃度の定量なども行い、朝の光による概日リズム位相の前進量を子どもと大人でする。
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