研究課題/領域番号 |
20J14065
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
李 文揚 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | ロボットアーム / モジュール化 / ヒューマノイドロボットアーム / ソフトロボットアーム / 固有覚 / ワイヤ牽引機構 / ワイヤ干渉機構 / 機構設計 |
研究実績の概要 |
擬人化ロボットアームの運動機能に,感覚機能(固有覚)を付与し,視覚と触覚と統合することで,制御精度の向上と知能化の実現が本研究の目的である。 令和2年度は、固有覚モジュール及びロボットアームの開発を進めた。(a)固有覚ジュール開発においては、ワイヤ駆動ロボットに搭載できる小型の固有覚モジュールを開発した。固有覚モジュールでは、ワイヤ張力で変形する部分に、赤外線センサを取り付けて変形による受光量の変化によりワイヤの張力を検出する。引張試験機を通じて、この研究に適した固有覚モジュールの理想的な形を取得し、大きさ38.5×10×12[mm]、重量2.7gの小型軽量の固有覚センサを製作した。開発した固有覚センサは、ロードセルなどの力センサよりワイヤ駆動への負荷が小さく、取り付けが容易である。(b)ロボットアームの性能を向上させるために、新しいロボットアームを開発した。さらに、人の上半身と同じ運動学を備えたロボットを実現するために、腰関節も開発した。ロボットアームの各関節モジュール採用したワイヤ干渉駆動は、先行研究の機構と異なり、新しい肩関節モジュールでは干渉と非干渉の共存を実現し、人の一般的な動きに対応した関節トルクを向上させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,当初計画していた運動負荷とワイヤの変形量の計算に基づいて、固有覚モジュールの開発を完成し、固有覚モジュールとロボットアームを組み合わせる実験も行った。また、ロボットアームの性能を向上させるために、新しいロボットアームを開発した。この過程では、1つの関節の中での干渉と非干渉との共存の問題を解決した。以上より,本年度の研究計画はおおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
固有覚を導入したロボットアームの視覚,触覚,固有覚を統合した制御システムの開発に挑戦する.具体的には,まず,擬人化ロボットアームの関節に固有覚を実装する.そのうえ,関節モジュールの固有覚より得られる、ロボットアームの各関節が運動負荷とワイヤの変形量を計算する.そして,固有覚付き関節モジュールのワイヤのプリテンションの最適値を求める.その後,固有覚に基づいて干渉駆動モジュールの動力学モデルに導入し,ロボットアームの制御システムを開発する。運動との関連が深い視覚,触覚,固有覚はそれぞれのセンシング領域,精度,感度などが異なり,互いに補うことで,ヒトの巧みな動作に必要な情報を提供している。本研究は、ロボットアームの制御精度の向上と知能化を図るのため,擬人化ロボットアームに視覚,触覚,固有覚を統合した制御システムの開発に次年度は取り組む.
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