研究課題/領域番号 |
20J14073
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
谷田部 和貴 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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キーワード | メカノバイオロジー / ペプチド / 生体適合性高分子材料 / FRET |
研究実績の概要 |
細胞や生体組織のミクロな構造変化を観察することにより、生体に対する力の作用機序の解明が期待されている。本研究では、細胞培養用の材料に力によって蛍光挙動が変化する張力センサー分子を精密に組み込んだ新規材料を開発することにより、簡便に細胞の可逆的な張力の三次元的蛍光イメージングを目指す。 具体的には、①引っ張っても元の構造に戻りうるペプチド性張力センサー分子と細胞培養用の高分子材料とを設計・化学合成する、②これら分子を混ぜて作製した複合材料について、実際に張力マッピング可能か蛍光顕微鏡で観察を行う、③前項が達成されたのち、細胞培地として、細胞の可逆的な張力の三次元的蛍光イメージング可能か蛍光顕微鏡で観察を行う。なお、当該年度は①と②の部分について実験を行った。 当該年度は新規材料としてペプチド性張力センサー分子を化学合成し、水中でFRETが起きているか蛍光スペクトル測定にて確認した。さらに、当ペプチドの立体構造を壊す変性剤トリフルオロ酢酸を添加した際の、FRET挙動の変化が蛍光スペクトルにより観察された。以上より、このペプチドは適切な高次構造の形成時にFRETを起こし、高次構造の破壊に伴ってFRETの減少が示された。 また、張力センサーゲルを形成する前駆体を作製した。前駆体として、架橋反応ができるように誘導体化した生体適合性ポリマー分子、およびリンカー分子をそれぞれ作製した。なお、「ポリマー分子・リンカー分子」誘導体は過去に報告されている化合物を利用した。 次に、ペプチド性張力センサー分子、生体適合性ポリマー分子、およびリンカー分子の3種を水中で混ぜて架橋させることによるゲル形成を試みた。しかしながら目的のゲルを形成することはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞や生体組織のミクロな構造変化を観察することにより、生体に対する力の作用機序の解明が期待されている。本研究では、細胞培養用の材料に力によって蛍光挙動が変化する張力センサー分子を精密に組み込んだ新規材料を開発することにより、簡便に細胞の可逆的な張力の三次元的蛍光イメージングを目指す。 具体的には、①引っ張っても元の構造に戻りうるペプチド性張力センサー分子と細胞培養用の高分子材料とを設計・化学合成する、②これら分子を混ぜて作製した複合材料について、実際に張力マッピング可能か蛍光顕微鏡で観察を行う、③前項が達成されたのち、細胞培地として、細胞の可逆的な張力の三次元的蛍光イメージング可能か蛍光顕微鏡で観察を行う。なお、当該年度は①と②の部分について実験を行った。 当該年度は新規材料としてペプチド性張力センサー分子を化学合成し、水中でFRETが起きているか蛍光スペクトル測定にて確認した。さらに、当ペプチドの立体構造を壊す変性剤トリフルオロ酢酸を添加した際の、FRET挙動の変化が蛍光スペクトルにより観察された。以上より、このペプチドは適切な高次構造の形成時にFRETを起こし、高次構造の破壊に伴ってFRETの減少が示された。 また、張力センサーゲルを形成する前駆体を作製した。前駆体として、架橋反応ができるように誘導体化した生体適合性ポリマー分子、およびリンカー分子をそれぞれ作製した。なお、「ポリマー分子・リンカー分子」誘導体は過去に報告した分子を利用した。 次に、ペプチド性張力センサー分子、生体適合性ポリマー分子、およびリンカー分子の3種を水中で混ぜて架橋させることによるゲル形成を試みた。しかしながら目的のゲルを形成することはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
微小張力検出に関するゲルの開発において、前年度ではゲルそのものが形成できなかったため、ゲルの分子設計そのものをやり直す必要があると考えている。具体的には、生体適合性ポリマー分子とリンカー分子との二成分系による高分子材料を作製する。この生体適合性ポリマーには「凝集すると蛍光強度が向上する」蛍光分子を導入させる。この生体適合性ポリマーは、細胞培養時の温度(37℃付近)では凝集するようにし、氷浴下では分散するような分子を設計する。こうすることにより、温度変化によって疑似的に凝集と分散とを繰り返すことができ、当ポリマーの蛍光強度スペクトルもしくは蛍光顕微鏡観察によって蛍光強度を比較することにより、張力検出可能か考察する。 また、生体適合性ポリマー分子とリンカー分子とを水中で混合させ、ゲルを形成させる。このゲルについて当初研究計画で予定して手順により、張力に伴う蛍光変化が起きるか観察を行う。具体的には、ある程度伸縮自在なシート上に上記ゲルを形成させ、伸縮に伴う蛍光強度変化を蛍光顕微鏡で観察を行う。なお測定機器は所属大学に有するものを使用する。 上記ゲルで張力検出可能な場合、細胞培養が可能か検討する。
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