理論研究 ①教育学研究をレビューすることで、学校におけるソーシャルワーク実践が制約されるということを明らかにする論文「スクールソーシャルワーカー研究に必要な学校理解とはなにか?『学校という枠』の融解をめぐる研究レビュー」を『早稲田大学大学院教育学研究科紀要別冊』29(1)に投稿し、2021年9月に掲載決定に至った。本論文は2020年9月に日本社会福祉学会第68回秋季大会にて「スクールソーシャルワーカーは倫理的ジレンマにどう向き合うか?学校でソーシャルワークをすることの構造的困難-」と題して発表を行った成果をもとに執筆したものでもある。狭義の「理論」のみならず、「学校の変容」を試みるスクールソーシャルワーカーが直面する困難を、現場の目線と既存の学問の積み上げをつなぐことによって明らかにした。 ②またスクールソーシャルワーカー活用事業の政策展開過程について、2021年11月「スクールソーシャルワーカー活用事業の政策展開―予算編成における「政策の再文脈化」の帰結―」として日本学校ソーシャルワーク学会機関紙『学校ソーシャルワーク研究』17号に投稿し、2022年2月に採択が決定した(2022年10月掲載予定)。この論文では、スクールソーシャルワーカー活用事業が、元々存在した政策の文脈に対し,新たな政策意図を重ね合わせていくことで成り立っていったという「政策の再文脈化」を概念化した。すなわち、量的問題の解決によって質的問題が深刻化するというトレードオフを明らかにすることができた。
臨床研究 ③2020年度中に行った参与観察やインタビュー調査の結果を生かし、論文投稿を進めた。具体的には、2021年4月に日本社会福祉学会機関紙『社会福祉学』へ投稿した。同投稿は2021年8月に不採択となったため、2022年度における再投稿のために鋭意改稿中である。
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