研究課題
本年度は「光電気化学(PEC)反応を利用した窒化ガリウム(GaN)の低損傷トレンチ加工と縦型トランジスタ応用」という研究目的達成のため、昨年度に引き続き、主に以下の2点に着目して活動へ取り組んだ。1 PECエッチングのデバイスプロセス適合性の向上PECエッチングのデバイスプロセス適合性向上のため、基板上へ陰極を作製し、光励起により発生した電子を溶液中へ回収させる機構を作成することで、PECエッチングのコンタクトレス化(Contactless PEC: CL-PEC)を達成した。これにより、装置の大幅な簡略化が可能となった。また、これまで使用されなかったリン酸をベースとしたエッチング液を開発することで、マスクとしてポジ型のフォトレジストマスクの使用を可能とし、さらなる適合性向上を実現した。こうして開発した系は、デバイスプロセスへ直接適用できる高い適合性と低損傷かつ高制御性を含んだ高品質なエッチング特性を両立しており、研究目的の達成へ向けて前進した。2 ヘテロ界面において発生する特異的現象を利用した高品質なエッチング技術の開発窒化物半導体であるAlGaNとGaNのヘテロ接合基板に対して、CL-PECエッチングを行った際に発生する「自己停止現象」を利用したエッチング技術の開発を行った。その結果、AlGaN/GaNのヘテロ界面においてAlGaNの膜厚を数nmレベルで制御できるエッチング技術を開発した。この技術を用いて作製されたリセスゲート型AlGaN/GaN高電子移動度トランジスタ(HEMTs)は、未加工面をゲートとしたプレーナーHEMTsと比較して、閾値電圧の均一性向上(標準偏差σ=69.2 mV → 5.46 mV)をはじめとした各種電気的特性の改善が見られた。以上の結果に関して、民間企業との共同研究を通じた特許化・製品化や、学術雑誌への掲載、国際学会での招待講演等が行われた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Journal of Applied Physics
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