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2020 年度 実績報告書

アミロイド結合性化合物の探索と神経変性疾患を対象とした生体イメージングへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 20J14694
研究機関京都大学

研究代表者

貝出 翔  京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2022-03-31
キーワードαシヌクレイン / イメージング / カルコン類縁体
研究実績の概要

αシヌクレイン(α-syn)の生体イメージングはパーキンソン病(PD)の早期診断を可能とする生前の確定診断法となり得、それによる適切な治療方針の選択も可能になると考えられる。また、α-synイメージングによる画像診断と病理診断を組み合わせることで、PD の病態メカニズムの詳細な理解や根本治療薬の開発にも繋がると期待される。本研究課題では、独自の化合物ライブラリーを用いたスクリーニングによりα-syn凝集体への結合親和性を示す化合物を探索し、それを基盤として適切な置換基および放射性核種を導入することで、α-syn選択的な放射性イメージングプローブを開発することを目的とする。
令和2年度は、α-syn凝集体への高い結合親和性を示すことが報告されているカルコン類縁体(IDP-3)に着目し、本化合物を基盤としたα-synイメージングプローブの開発研究に注力した。IDP-3の化学構造式中のフェニル基を種々のアリール基に置換したカルコン類縁体を設計・合成し、α-syn凝集体への結合性を評価した。その結果、α-syn凝集体への高い結合親和性および結合選択性を示す新規カルコン類縁体を見出し、特にPHNP-3が最も良好な結合性を示すことが明らかとなった。また、PHNP-3はヒト脳切片においてもα-syn凝集体のみを選択的に描出することに成功した。SPECT用核種である放射性ヨウ素で標識した[125I]PHNP-3を用いて正常マウスにおける体内動態を評価したところ、α-syn凝集体の生体イメージングを行う上で十分な脳移行性を示さず、脳内挙動に課題を残した。以上の内容は日本薬学会第141年会で発表した。以上より,交付申請書に記載した研究実施計画は概ね達成した.
本研究より得られた成果は、α-synイメージングプローブの開発研究を促進し、優れた性能を有するプローブの開発に繋がるものと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、α-syn凝集体への結合親和性を示す化合物を探索し、それを基盤として適切な置換基および放射性核種を導入することで、α-syn選択的な放射性イメージングプローブを開発することを目的とする。
令和2年度は、α-syn凝集体への高い結合親和性を示すカルコン類縁体(IDP-3)を有用な基盤化合物として選抜し、カルコン類縁体を基盤としたα-synイメージングプローブの開発研究に注力した。IDP-3の化学構造式中のフェニル基を異なるアリール基に置換し、SPECT用核種である放射性ヨウ素を導入した種々のカルコン類縁体を設計・合成し、リコンビナントα-syn凝集体への結合親和性および結合選択性を評価した。その結果、α-syn凝集体への高い結合親和性および結合選択性を示すカルコン類縁体を得た。特に良好な結合性を示したPHNP-3は、ヒト脳切片においてもα-syn凝集体のみを選択的に描出することに成功した。一方、[125I]PHNP-3は正常マウスにおいてα-syn凝集体の生体イメージングを行う上で十分な脳移行性を示さなかったことから、脳内挙動に課題を残した。以上の内容は日本薬学会第141年会で発表した.。
また、昨年度から継続中のビスキノリン誘導体(KPTJ10017)を基盤としたα-synイメージングプローブの開発研究に関する成果がアメリカ化学会の学会誌ACS Chem Neurosciに受理された。

今後の研究の推進方策

令和2年度の研究成果として、α-synイメージングプローブの開発に向けた有望なリード化合物(PHNP-3)を得ることに成功した。本化合物はα-synへの高い結合親和性および結合選択性を示した一方で、脳内のα-syn凝集体を生体イメージングする上で十分な脳移行性を示さなかった。そこで令和3年度はPHNP-3を基盤として、α-synへの結合親和性および結合選択性を維持しながら脳内挙動の改善を目指した新たな分子設計、化学合成、および生物学的評価実験を行う。α-syn凝集体への結合性および脳内挙動に関する構造活性相関研究の結果得られた良好な放射標識化合物については,小動物を用いたより詳細な評価実験を行う。具体的には、α-syn凝集体を脳内に過剰沈着させた病態モデルマウスを用いてα-syn凝集体の生体イメージングに挑戦する。化合物をマウスに投与した後に脳を摘出し ex vivoオートラジオグラフィを行うことで、脳内のα-syn凝集体へのin vivoでの結合性を評価する。また、PET/CT撮像を行いマウスが生きたままの状態で化合物の脳内挙動を評価する。さらに、マウスの血液採取および脳ホモジェネート作製を行い、これらを用いたin vivo代謝物分析により化合物のマウス血液中および脳内における代謝安定性を評価する。
以上の研究実施計画に従い、総合的に優れた性能を有するα-syn選択的な放射性イメージングプローブの開発研究を目指す。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Identification and Evaluation of Bisquinoline Scaffold as a New Candidate for α-Synuclein-PET Imaging2020

    • 著者名/発表者名
      Kaide Sho、Watanabe Hiroyuki、Shimizu Yoichi、Iikuni Shimpei、Nakamoto Yuji、Hasegawa Masato、Itoh Kyoko、Ono Masahiro
    • 雑誌名

      ACS Chemical Neuroscience

      巻: 11 ページ: 4254~4261

    • DOI

      10.1021/acschemneuro.0c00523

    • 査読あり
  • [学会発表] 神経変性疾患における脳タンパク質凝集体を標的とした核医学イメージング法の開発2021

    • 著者名/発表者名
      貝出翔、渡邊裕之、飯國慎平、小野正博
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会

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公開日: 2021-12-27  

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