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2020 年度 実績報告書

ネコにおける集団形成・維持・崩壊メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20J14760
研究機関麻布大学

研究代表者

子安 ひかり  麻布大学, 獣医学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2022-03-31
キーワードネコ / 集団 / 内分泌 / 行動
研究実績の概要

本研究では集団形成における柔軟性を獲得したネコを対象とし、ネコが集団を形成するメカニズムを解明することが目的である。この研究を実施するにあたり、以下4つの課題を通して、集団形成メカニズムの行動学的・内分泌学的側面からの解明に挑んでいる。
(1)集団構造の解明、(2)集団を形成する手掛かりとなる要因の特定、(3)内分泌操作による集団構造の変化、(4)同種に対する社会的寛容性と異種に対する社会的寛容性の関連調査
課題
当該年度において、課題(1)集団構造の解明において、ネコの集団における個体間の相互作用と内分泌の関連を見出した。5頭のネコを2週間1室にて住まわせ、ネコの行動解析と内分泌(コルチゾール、テストステロン、オキシトシン)の測定した。計3集団15頭分のデータを収集し、行動と内分泌の関連解析を実施した。
課題(2)集団を形成する手掛かりとなる要因の特定も開始した。集団を形成する手掛かりとなる要因には、内分泌や気質を変化させる温度に着目し実験を実施している。5頭のネコを4週間1室にて住まわせ、4週間のうち2週間は20℃、もう2週間を26℃に室温を設定し、ネコの行動解析と内分泌の測定を行っている。また、集団形成の最初のステップである近接行動に焦点を当て、近接行動を受けやすい個体や近接行動が生じやすいペアの特徴の解析を実施し、近接行動が生じやすい個体の特徴やペアの特徴を見出した。
これらの得られた成果をまとめ、日本動物心理学会や日本動物行動学会、日本神経行動内分泌研究会などで発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では集団形成における柔軟性を獲得したネコを対象とし、ネコが集団を形成するメカニズムを解明することが目的である。この研究を実施するにあたり(1)集団構造の解明、(2)集団を形成する手掛かりとなる要因の特定、(3)内分泌操作による集団構造の変化、(4)同種に対する社会的寛容性と異種に対する社会的寛容性の関連調査の4つの課題を通して、ネコの集団形成メカニズムの行動学的・内分泌学的側面からの解明に挑んでいる。
課題(1)集団構造の解明において、5頭のネコを2週間1室にて住まわせ、ネコの行動解析と内分泌(コルチゾール、テストステロン、オキシトシン)の測定を実施した。計3集団15頭分のデータを収集し、ネコの集団における個体間の相互作用と内分泌の関連を見出した。課題(1)において明らかとなった個体間の相互作用と内分泌の関連については、日本獣医学会や日本動物行動学会、日本神経行動内分泌学会で成果を発表した。また、データをまとめ論文の投稿準備に取り掛かっている。
課題(2)集団を形成する手掛かりとなる要因の特定も開始した。集団を形成する手掛かりとなる要因には、内分泌や気質を変化させる温度に着目し実験を実施している。5頭のネコを4週間1室にて住まわせ、4週間のうち2週間は20℃、もう2週間を26℃に室温を設定し、ネコの行動解析と内分泌の測定を行っている。また、集団形成の最初のステップである近接行動に焦点を当て、近接行動を受けやすい個体や近接行動が生じやすいペアの特徴の解析を実施し、近接行動が生じやすいペアの特徴を見出した。
さらに、課題(4)同種に対する社会的寛容性と異種に対する社会的寛容性の関連調査において、異種に対する社会的寛容性を課題(2)に参加した個体の調査を実施している。

今後の研究の推進方策

本研究では集団形成における柔軟性を獲得したネコを対象とし、ネコが集団を形成するメカニズムを解明することが目的である。この研究を実施するにあたり(1)集団構造の解明、(2)集団を形成する手掛かりとなる要因の特定、(3)内分泌操作による集団構造の変化、(4)同種に対する社会的寛容性と異種に対する社会的寛容性の関連調査の4つの課題を通して、ネコの集団形成メカニズムの行動学的・内分泌学的側面からの解明に挑んでいる。
今後は課題(2)の集団を形成する手掛かりとなる要因の特定の調査は例数をさらに追加する。5頭のネコを4週間1室にて住まわせ、4週間のうち2週間は20℃、もう2週間を26℃に室温を設定し、ネコの行動解析と内分泌の測定を行う。また同時に、課題(4)の同種に対する社会的寛容性と異種に対する社会的寛容性の関連調査についても例数の追加を実施する。課題(3)内分泌操作による集団構造の変化も実施する予定である。個体の内分泌を人為的に操作し、体内因子による集団の形成制御のメカニズム解明を行う。コルチゾールの合成をコルチゾールの合成を抑制するメチラポンやオキシトシン分泌を促すロイテリ菌をネコに投与し、投与前、投与中、投与後の社会構造ネットワークを作成する。また、課題(1)、(2)、(4)で採取した内分泌、行動や腸内細菌叢との関連解析も実施する。
これらの実験、解析を進めるとともに、研究成果をまとめ、国際論文誌への投稿(Society for Behavioral Neuroendocrinology、Royal Society、Hormone and Behavior等)、国内外学会での発表(Society for Behavioral Neuroendocrinology、日本動物心理学会、日本動物行動学会等)を行う。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] The Gaze Communications Between Dogs/Cats and Humans: Recent Research Review and Future Directions2020

    • 著者名/発表者名
      Koyasu Hikari、Kikusui Takefumi、Takagi Saho、Nagasawa Miho
    • 雑誌名

      Frontiers in Psychology

      巻: 11 ページ: 613512

    • DOI

      10.3389/fpsyg.2020.613512

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Mutual Synchronization of Eyeblinks between Dogs/Cats and Humans2021

    • 著者名/発表者名
      Hikari Koyasu, Risa Goto, Saho Takagi, Miho Nagasawa, Tamami Nakano, Takefumi Kikusui
    • 学会等名
      Comparative Cognition Society
    • 国際学会
  • [学会発表] ネコの集団における他個体への行動とコルチゾール、オキシトシンの関連解析2020

    • 著者名/発表者名
      子安ひかり、米田萌香、那波俊平、坂和夏美、笹尾郁斗、高橋宏伸、永澤美保、菊水健史
    • 学会等名
      日本動物行動学会
  • [学会発表] Social behavior in groups of cats and the effects of environmental temperature2020

    • 著者名/発表者名
      Hironobu Takahashi, Ikuto Sasao, Hikari Koyasu, Miho Nagasawa, Takefumi Kikusui
    • 学会等名
      日本動物心理学会
  • [学会発表] Synchronization of eyeblinks between dogs/cats and humans2020

    • 著者名/発表者名
      Hikari Koyasu, Risa Goto, Saho Takagi, Miho Nagasawa, Tamami Nakano, Takefumi Kikusui
    • 学会等名
      日本動物心理学会
  • [学会発表] Cats know family’s names2020

    • 著者名/発表者名
      Saho Takagi, Atsuko Saito, Hikari Koyasu, Miho Nagasawa, Takefumi Kikusui
    • 学会等名
      日本動物心理学会
  • [学会発表] ネコの集団における行動とコルチゾール、オキシトシンの関連解析2020

    • 著者名/発表者名
      子安ひかり、米田萌香、那波俊平、坂和夏美、笹尾郁斗、高橋宏伸、永澤美保、菊水健史
    • 学会等名
      日本獣医学会
  • [学会発表] ネコの集団における行動とその内分泌制御2020

    • 著者名/発表者名
      子安ひかり、米田萌香、那波俊平、坂和夏美、笹尾郁斗、高橋宏伸、永澤美保、菊水健史
    • 学会等名
      日本行動神経内分泌研究会

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公開日: 2021-12-27  

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