本研究では、レファレンスインタビューのような人間の専門家が行うような対話を対話システム上で再現するために、特に、対話システムのための言語理解と応答生成モデルを中心とした諸検討を行った。 1)対話における意図がどのような構造を持ち、対話の中で何が実現されたかということを解析するためのニューラル対話構造解析モデルを提案した。提案した対話構造解析モデルは、対話システムにおける対話制御に応用することができる。 2)エントレインメント現象を陽に制御して応答を生成するニューラル会話モデルを提案した。エントレインメントは対話における話者間の言語使用の傾向が類似するような現象であり、様々なドメインで対話のタスク成功率や自然性と相関することが示唆されている。提案したニューラル会話モデルは主観評価・客観評価の両方で、ベースラインモデルを上回るエントレインメントの制御性と応答の自然性を示した。また、複数の対話コーパスを用いた分析を通じて、強くエントレインメントした応答がユーザの主観評価を向上させる傾向があることを示した。 3)ユーザの質問が曖昧な場合にその質問意図を明確化するような聞き返しを生成する応答生成モデルを提案した。曖昧な質問に対する聞き返しはレファレンスインタビューのような情報案内対話における重要な戦略の一つであり、それを再現する対話システムに必要不可欠である。提案したモデルは、ユーザの質問に対する聞き返しを生成することで、質問応答システムが回答に必要な補完し、その質問応答精度を向上させることを示した。
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